日本初の多発ジェット機 川崎「C-1」初飛行 - 1970.11.12 輸送機らしくない飛行披露もあと少し

国産初の多発ジェット機、残るはあと何機?

 C-1は、試作機も含めて31機が製造され、長らく航空自衛隊の航空輸送の中核を担う機体として重用されてきましたが、長年の運用による老朽化が進んだことで2011(平成23)年頃からは退役する機体も出始めます。一方、後継機であるC-2の配備も進んだことで、2022年11月現在の運用機数は片手で数えられるほどにまで減少しています。

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2022年11月3日に開催された入間航空祭において、展示飛行を終えて着陸したC-1の98-1029号機。これが本機のラストフライトになった(布留川 司撮影)。

 2022年現在、C-1の複数運用しているのは入間基地の第402飛行隊のみです。ただ、同飛行隊についてもC-2への更新が進められていることから、入間航空祭でのC-1の編隊飛行に関しても年を経るごとに減り続けており、2022年の参加機はたったの2機。しかも、そこに参加した内の1機である98-1029号機は航空祭での展示飛行が最後の飛行となっていました。

 C-1の全面退役と運用停止の時期については正式には公表されていませんが、その姿が見られる時間はそう長くないようです。高いSTOL性と機動性が評価される一方で、開発当時の政治的な配慮から国内のみの運用を想定した短い航続力は、運用のネックともなりました。

 しかし、基地間の貨物輸送などによって航空自衛隊の運用を大きく支えてきたことは間違いありません。陸上自衛隊の訓練や演習などにおいても、空挺隊員の落下傘降下や、物資、車両などの空中投下で数多く支援に就いており、C-1は言うなれば国防と災害派遣の両面で縁の下の力持ち的存在として活動し続けた「功労者」だとも形容できるでしょう。

 今後は後継機であるC-2がそれらを引き継いで行くのでしょうが、こちらの機体は水色主体の迷彩塗装であることから、緑や茶からなる迷彩が特徴のC-1が元気に空を飛ぶ姿を見られるのは、あと少しのようです。

【了】

【90度バンクの飛行シーンも!】物量投下するC-1や「歌舞伎」仕様の特別塗装機ほか

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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コメント

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2件のコメント

  1. 1945年8月7日午後1時すぎ、それは
    、緊張と感動に満ちた、日本航空史上、記念すべき瞬間であった。「橘花」は上昇を続け、高度600メートル付近で水平飛行に移った。前間孝則著「ジェットエンジンに取り憑かれた男」より。因みに「橘花」には「ネー20」というジェットエンジンの双発機です。

  2. やっぱり、かっこいいなぁC-1