対空装備は馬車仕立て…? WW2期ドイツ軍の「対空馬車」は無いよりマシな心理兵器か

「電撃戦」で知られるWW2期ドイツ軍であっても、全ての部隊が最新装備で固められていたわけではありません。新鋭戦車などが配備された部隊の隣には、馬車で行軍する部隊もいました。後者に見られた、馬車引きの対空装備のお話。

ドイツらしさあふれるコンパクトながら作り込まれたメカニズム

 対空馬車で多く作られたのは、2頭立ての馬車IF.5型で牽引する2輪1軸のトレーラーに、2丁のMG34機関銃を装備する36式連装銃架を載せた、「36式MGトレーラー」とも呼ばれたものでした。

 一応ゴムタイヤを履きますが、低速なのでサスペンションはありません。馬を繋いだ移動状態での射撃はできず、馬車部分を外してボディの前後に備えられた2本のスタンドを降ろし射撃体勢を取りました。地味ですが見た目のユニークさから結構、有名になり、のちにプラモデルにもなっています。

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36式連装機銃架を備えた36式MGトレーラー(画像:BreTho、CC BY-SA 4.0〈https://bit.ly/3bAbs4g〉、via Wikimedia Commons)。

 四角い車体はバスタブのようにも見え、ひとりがやっと入れるくらいの小さな2輪のトレーラーにちょこんと機関銃座が載っている姿はユーモラスですが、36式連装機銃架はしっかりと射手席まで作りこまれており、いかにもドイツ的な凝った兵器でした。この銃架部分はトラックや乗用車にも装備されました。

 また、MG34機関銃は優秀でした。1934(昭和9)年に制式採用された口径7.92mmの汎用機関銃で、ドイツ軍では広く使われました。他国の一般的な機関銃の発射速度が毎分500発から600発だったところ、MG34は毎分800発から900発の能力があり、対空機銃としての威力は充分で、地上攻撃にも有効でした。機銃の左側に150発入りの弾倉を取り付けました。

 対空馬車は1942(昭和17)年頃まで第一線で使用されている写真が残っています。この頃までは、ドイツ軍の勢力圏においては敵機の攻撃も少なかったので、対空馬車でも戦力になったのですが、戦争も後半になって戦局が悪化してくると、さすがに能力不足が明らかになり姿を消していきます。

【画像】高性能かつ汎用性も抜群なMG34機関銃

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