日本最小?「軽自動車の路線バス」が生まれたワケ 旅客定員は3人

四国本土からの「通勤ラッシュ」が生まれる島

 伊吹島は3年に1度の「瀬戸芸」こと瀬戸内国際芸術祭の会場にもなっているため、会期中には島外からの観光客も、たまに“バス”を利用するのだとか。ちなみに、この島で展示された瀬戸芸の作品のひとつには、「伊吹島ドリフト伝説」(島の狭隘な道路をバイクで駆け抜けるバーチャルゲーム)もありました。

 そして、瀬戸芸の会期中でなくても眺めが圧巻なのは、漁場に近い平地のほとんどを占めるいりこ工場です。漁船が到着次第、原料となるカタクチイワシが海岸線に伸びる高圧ポンプから工場内へ送り込まれます。

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観音寺港と伊吹島を結ぶフェリー「ニューいぶき」(宮武和多哉撮影)。

 カタクチイワシは鮮度が落ちるのが極端に早く、水揚げ後30分内に加工を始める必要があるとのこと。四国本土側の観音寺港まで輸送していては間に合わないので、漁場に近い伊吹島の工場がいまもフル稼働しているのです。この工場に観音寺港から船で通勤する人々も多く、観音寺を朝6時過ぎに出るフェリーの始発便は、“通勤ラッシュ”と言っていい賑わいぶりです。

 伊吹島のいりこは全国でブランド品として販売され、全国には「伊吹」の名前を冠した食堂や、「伊吹島のいりこ使用」とポスターを貼り出しているうどん屋さんも。この島では、東京や大阪で高級品として販売されているものを、はるかに格安で買い求めることができます。

【了】

【地図】軽自動車の路線バスが走る場所(+現地の写真)

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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