日本最小?「軽自動車の路線バス」が生まれたワケ 旅客定員は3人

結構利用されている? “軽の路線バス”背景にある道路事情

 伊吹島の住宅街は急な斜面に張り付くように広がっており、この“バス”が走る道路は、ほぼ全区間が急な坂道です。狭隘な道路の両脇の家並みは、海風を凌ぐために頑丈な塀で守られており、見ているだけでバンパーを擦らないか心配になってきます。

 かつ坂道とカーブが続くため、前方の見通しもカーブミラー頼み。一般的にはこういった場所でのバス運行には、小型バスやワゴン車(トヨタ・ハイエースなど)が充てられますが、伊吹島ではそういった車両でも難しそうです。

 多くの便の始発となる「荒神社」バス停から港までは1km少々ですが、標高差が80mほどあります。この島ではクルマが通行できる道が少なく、2か所ある途中バス停は、人ひとりの歩行が精一杯という路地が何本も集結、この路地から1人、2人と利用者がひょっこり現れるのです。

運行ルートは、前方が見渡せない急カーブも多く、走行はきわめてゆっくりです。定員3名の“バス”はたまにいっぱいになるそうですが、朝晩なら前述の“次の便”があるので、待てば乗車できます。

 こうした地理的条件もあり、島にはタクシー会社がなく、交通機関を整備してほしいという要望が以前からあったそうです。高齢化が進み、最盛期には4000人以上だった人口も600人ほどまで減少するなか、2006年の道路運送法改正で自治体の路線バス運営のハードルが下がった(自治体有償輸送・過疎地有償輸送が成立)こともあり、翌2007(平成19)年に「観音寺のりあいバス・伊吹線」が運行を開始しました。なかでも、坂道を上る戻り便を利用する人が多く、運行開始後の約100日間で735人もの利用があったといいます。

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フェリーターミナル・待合室前で発車を待つ観音寺市のりあいバス(宮武和多哉撮影)。

 ちなみに、“バス車両”以外も、この島で見かけるのは軽自動車やスーパーカブといったコンパクトな車両ばかり。また小回りが効くオート三輪「ミゼット」の開発者として知られる伊瀬芳吉氏(元・ダイハツ社長)の出身ということもあって、昭和末期までは至る所で「ミゼット」が駆け抜けていたそうです。

【地図】軽自動車の路線バスが走る場所(+現地の写真)

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