鉄道発祥の地「新橋」の150年 “東京の台所”と“サラリーマン憩いの街”ができるまで

東に“東京の台所”、西に“サラリーマンの憩いの場”を擁した新橋

 旧汐留貨物駅は、 “東京の台所”として全国からの物資が集積し、現在は廃止となった「築地市場」にも線路が延び、魚介類を中心に昼夜を問わず貨物が往来していました。その後、物流の主役がトラック輸送に代わったのち、広大な敷地を活用した都心部再開発を受けて、現在のオフィス街となっています。かつての姿を復元し開設された旧新橋停車場の鉄道歴史展示室(無料)は、2013(平成25)年に開設されました。

 現在の新橋駅には、JRは山手線と京浜東北線のほか、東海道線は2015年の「上野東京ライン」開通により宇都宮・高崎・常磐線(快速線)各線と直通に。また地下には横須賀・総武快速線も運行されています。駅の東側は東海道新幹線が通過するほか、ゆりかもめの始発駅も存在。さらに地下鉄は東京メトロ銀座線と都営地下鉄浅草線が乗り入れるなど、複合的なターミナル駅の様相を呈しています。

 駅舎反対の西側には新橋駅の象徴となるSL広場があり、実物のC11形蒸気機関車が置かれています。今でこそイベント広場にもなっているSL広場ですが、筆者の幼少期にはホーム側に向かってステージがあり、まだ普及前の街頭テレビ画面から流れるプロレス番組に多くの視聴者が競うように見入っていたのを記憶しています。さらに駅西側エリアには、霞が関の官庁勤めの公務員や駅周辺サラリーマンの憩いの場所となる多くの飲食街があり、昼夜を問わず活気を見せているのは今も変わりません。なお、反対側の汐留口付近にも、D51形機関車の動輪と、「鉄道唱歌の碑」があります。

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旧新橋停車場 鉄道歴史展示室(画像:東京都立産業技術高等専門学校 鉄道研究会)。

 高架線の駅舎その前後の線路は、外板部分などに煉瓦を用いたアーチを形成しており、アーチ下に様々な店舗が入居しているのも、新橋駅周辺ならではの珍しい光景でしょう。周囲の風景を楽しみながら線路沿いを散歩するのもよいのではないでしょうか。

※撮影協力:東京都立産業技術高等専門学校 鉄道研究会 亀田知典、高橋広旭

【了】

【実はすごーく広かった!】初代新橋駅の地図ほか(写真ギャラリー)

Writer: 浜田拓郎(旅行・交通ジャーナリスト)

東京都出身。マーケテイングや企画分野の勤務を経て自動車ジャーナリストに。全国や海外を取材する関係もあり、旅行や航空、船舶分野も扱うように。その基本となるのがDESIGNにて、それぞれの開発ストーリーやトレンドを紹介する“ツーリズム・デザイン”が日々の活動テーマとなっています。

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