100円稼ぐのに約2.4万円 JR西日本、赤字ローカル線の現状を公表 上下分離も視野に

中国山地の路線が危機的状況です。

30年前と比較すると…

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JR木次線(2002年4月、草町義和撮影)。

 JR西日本は2022年11月30日(水)、「輸送密度2000人/日未満の線区別経営状況に関する情報開示」と題し、管内のローカル線30線区の収支状況を発表しました。これは、2019年~2021年度の平均をとったもの。なお輸送密度とは、1日1kmあたりの平均乗車数を表したものです。

 100円の営業収入を得るのに、どれだけの営業費用を要するかを表す「営業係数」が最も高かったのは、芸備線の東城~備後落合間で「2万3687」。次いで木次線の出雲横田~備後落合間で「7453」。いずれも中国地方の山間部を行く路線です。3番目に高かったのは、大糸線の南小谷~糸魚川間で「4295」でした。

 沿線の人口減少などによる利用率の推移も浮き彫りになりました。JR発足時の1987(昭和62)年と2021年を比較して、輸送密度が2000人以上から2000人未満に減少したのは30線区中12線区。うち、最も輸送密度が高かった山陰本線の城崎温泉~浜坂間は、4966人から606人まで減少しました。

 JR西日本は今回、「地域の皆様と各線区の実態や課題を共有すること」を目的に経営状況を開示したといいます。鉄道、特にローカル線を取り巻く環境は、沿線人口の減少や少子高齢化、道路整備などにより大きく変化しています。同社は「自動車に比べてきめ細かな移動ニーズにお応えできないこともあり、線区によっては地域のお役に立てておらず、厳しいご利用状況になっています。大量輸送という観点で、鉄道の特性が十分に発揮できていないと考えております」としています。

 そのうえで今後、地域公共交通計画の策定などの機会に積極的に参画し、「鉄道の上下分離などを含めた地域旅客運送サービスの確保に関する議論や検討を幅広く行いたい」との見解も示しています。

【了】

【地図】赤字ローカル線区を見る

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