京急大師線 頓挫した地下化計画が"一部復活"? 「絶対どうにかしたい踏切」の今後

川崎駅にほど近い深刻な踏切

 この踏切で京急と交差するのは、首都高川崎線の地上道路でもある国道409号です。アクアラインから西進して京急大師線と並走し、この「本町踏切」を抜けるとJR・京急の西側へ抜けて、JR南武線と並走して高津方面まで伸びています。

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京急大師線と国道409号が交差する「本町踏切」(乗りものニュース編集部撮影)。

 アクアライン~第二京浜~国道246号をむすぶネットワークのため交通量が多く、2018年の調査では1日あたり約3万台が本町踏切を横断しています。

 この交通量に踏切遮断時間を掛けた”遮断影響係数”とも言うべき「踏切自動車交通遮断量」は67737。この数値は、国が「改良すべき踏切」に指定する要件の50000を超えています。まだ国による指定は受けていませんが、指定されると連続立体交差事業などの事業化がスムーズになります。

 川崎市はこの「本町踏切」の除却方法について、2019年に「鉄道が高架でまたぐ」「鉄道がトンネルでくぐる」「道路が高架でまたぐ」「道路がトンネルでくぐる」の4案を比較検討。その結果、「鉄道がトンネルでくぐる」方式がコスト面や環境面、事業の進めやすさなどで有利だと判断しています。

 この案でいけば、大師線は京急川崎駅を出るとすぐトンネルに入り、第一京浜(国道15号)の下をくぐるあたりで地上に出る予定で、事業費は約300億円と試算されています。

 では、いつこれが実現するのでしょうか。昨年12月の市議会答弁では、「1期事業が完了してから着手する」としています。とはいっても、先述の1期事業の続き工区(大師橋~鈴木町)はまだ都市計画決定も完了していません。2期区間の中止にともない、鈴木町駅付近の地上へ上がる部分をあらためて追加決定する必要があるからです。「本町踏切」地下化工事が実際に始まるのは、もう少し先のことになりそうですが、その頃までには国の「改良すべき踏切」に指定されているかもしれません。

 ところで、第一京浜をくぐる地点には、過去に大師線にあった「六郷橋駅」のホーム跡が、今でも残っています。地下化工事の際には、この“遺跡”が見納めになる可能性もあります。

【了】

【どう変わる?「京急大師線地下化計画」ルートと現況】

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