日英伊3国の共同開発「次期戦闘機」…アメリカは蚊帳の外? 参画が必要な理由
なぜアメリカが「随伴無人機」で参加が必要なのか
しかし、次期戦闘機に随伴する無人機は、高度な技術が求められます。
空戦に鉄則の「Stay with Leader(編隊長と共に)」を「忠実」に行い、レーダーやIRST(赤外線追尾装置)で守りを固め、将来は接近する脅威をミサイルで排除する機能も求められます。こうした高度に自律した飛行が不可欠であることから、機体には、AI(人工知能)の搭載が必須とされています。
米国は既に豪と共同でMQ-28「ゴーストバット」を飛行させているほか、米国内で同じようなほかの機体も造られはしています。
一方、英国は2022年6月、「LANCA(軽量で低価格な無人戦闘用航空機)」と呼ぶ、随伴無人機の技術立証機「モスキート」の中止を発表しています。いまのところ日本も開発に乗り出すと報道されましたが、具体的な機体はありません――つまり、直近で近しい国と開発を模索するなら、“ものになりそうな”機体は米国にしかないことになります。
必ず成功させなければならない次期戦闘機の開発にあたり、この無人機の実用化が必要なことも明らかです。両機の密接な連携へ向けて、開発は必然的に日・英・伊に加えて、米国とも関わり合いを深くせざるを得ないでしょう。
次期戦闘機は3か国の開発主体メーカーがエンジンを含めて決まりました。日本では、三菱重工が中心となります。一方、随伴無人機は日米ともに、目標性能や契約が公になるのはこれからです。空自のT-4、T-7練習機の後継機選定も囁かれ、日本の“防空の未来”が大きく方向転換を見せそうななか、随伴無人機を担当する日本メーカーはどこになるのでしょう。これも合わせて、先行きは次期戦闘機そのものと同じほど気になるポイントです。
【了】
Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
必ず成功させなければって、時代を感じるセリフだな...今は利権関係が多様で責任は分散されるだろうに