兵器が「ハマる」とは? ウクライナで重宝される独製旧式兵器と北朝鮮無人機侵入事件

なぜ「ゲパルト」はハマれたのか

 兵器に限らずですが、何かしら製品を手に入れるならより新型高性能なものを求めるのは、ごく一般的な動向でしょう。国の命運を委ねることにもなる兵器ともなれば、その傾向はより顕著になります。しかし兵器が有効に働くには、ただ高性能なだけでなく「必要な時に、必要な物が、必要な数だけ」という原則があります。

 旧式車で決して高性能とは言えない「ゲパルト」は、ウクライナ軍では高く評価されています。上記の原則にハマったからです。「ゲパルト」では対抗するのが難しいと思われるロシア軍有人機の活動は不活発で、そうしたなか現状で脅威となっている無人機や巡航ミサイルに一定の有効性を示しました。

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2022年12月3日投稿、「シャヘド136」の残骸脇に立ってウクライナの実情を訴えるゼレンスキー大統領(画像:ウクライナ大統領府)。

 機関砲弾は、対空ミサイルと比べれば安価でコスパに優れ、対外的な影響が最小という効果もあります。ウクライナ軍は長射程対空ミサイルも持っており、ロシアがウクライナ国内へ向けて使用する巡航ミサイルを標的とすることは可能なのですが、ロシアはその巡航ミサイルを、ウクライナの対空ミサイルが隣国ポーランドやベラルーシとの国境に向かって飛翔せざるを得ないような経路を突いて飛ばすなどしています。そして実際に、目標を撃ち漏らしたウクライナの対空ミサイルがそれら隣国へ落下する事件が起きています。

 しかし、射程の短い対空砲にそのような心配はいりません。「ゲパルト」は射程の短さも旧式化の要因でしたが、これがかえって有効に働いているのです。

【画像】散らばる薬莢 毎分550発! 射撃後の「ゲパルト」

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