通勤形から大変貌 阪急「京とれいん 雅洛」 車内に枯山水の庭!? もはや“走る名所旧跡”
乗車券のみで乗れる「京とれいん 雅洛」
5号車は「初秋」がテーマで、外観には芒(すすき)があしらわれています。車両中央部には「京町家の坪庭」をイメージした坪庭を設置。ちなみに座席は2号車と同じロングシートですが、「去りゆく夏から初秋へ移りゆく季節感を表現した」暖色系の内装により、全く異なる雰囲気です。
6号車は「早春」がテーマで、外観の扇に梅があしらわれています。車両中央部の円窓には「鶴と松」が描かれており、新春を迎えた京都の煌びやかさを表現しています。座席配置は1号車と同じですが、配色の違いで全く別物と感じられます。
側窓には「すだれカーテン」、車端部の側窓は障子フィルムがあしらわれています。また、27インチフルハイビジョンで京都観光のPR画像も放映されます。
デッキ部と客室は「犬矢来」をイメージした仕切りで区切られています。側扉は格子戸が採用され、和の雰囲気を演出しています。照明は間接照明やダウンライトが多用され、お洒落でモダンな空間です。
デザインや改造は阪急阪神ホールディングスの子会社である、アルナ車両が手掛けたとのことですが、著名デザイナーが手掛けた有料観光列車と比較しても、決して劣らぬデザインで、むしろ繊細さでは上回っているかもしれません。
「京とれいん 雅洛」は土日祝に大阪梅田~京都河原町駅間を1日4往復します。6両全てで京都を感じられる「京とれいん 雅洛」。これだけの車両ながら、特別料金は必要ありません。乗車券だけを手に、一見の価値ありです。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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