「少しの大型空母」「たくさんの小型空母」どっちが有利? 旧海軍を苦しめた空母のサイズ問題

太平洋戦争で旧日本海軍は「飛龍」の設計を流用した雲龍型空母を多数建造しました。このタイプはいうなれば中型空母。小型空母でもなく大型空母でもない中型クラスの整備に舵を切った台所事情を探ります。

技術的に「小型空母多数」が採れなかった日本

 なお、小型空母は飛行甲板が狭いので、飛行甲板の先頭部分に艦載機を置いたままにすると、戻ってきた攻撃隊が着艦できなくなります。ゆえに、頻繁に飛行甲板のエレベーターから、格納庫に着艦した艦載機を降ろす必要があり、そういった観点でも大型空母と比べて運用効率が劣りました。

 こうしたこともあり、「艦載機を十分に運用できる最低限の艦型」が、日本では中型空母の「飛龍(雲龍型含む)」となったわけです。なお、既存の小型空母は飛行甲板を延長して、少しでも発艦時の「発艦区域」を長く取り、着艦時では「収容区域」に艦載機を貯め込めるようにしていました。

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アメリカ海軍の空母「ホーネット」(画像:アメリカ海軍)。

 太平洋戦争後半になると、アメリカ空母のほとんどは優れたカタパルトを装備していたので、前述したように小型空母であっても大型の最新艦載機を運用できました(艦載機の運用効率では大型空母の方が優れているのは日本と同じです)。

 ただ、大型空母については、自走発進だと1機15~30秒に対し、カタパルトを使うと1機2~3分かかることから、カタパルトは無用の長物だと考えられていたようで、大戦後期にHIV型カタパルトの導入で、発艦間隔が30秒~1分に短縮されるまで、撤去命令が出たほどです。

 こうして見てみると、太平洋戦争中に限定するのであれば、日本は「小型空母多数」より「大型空母少数」の方が技術的には望ましいけど、条約制限や予算の関係からできなかったと言えるでしょう。一方、アメリカは「小型空母多数」でも、カタパルトを使えば戦うことはできるけど、速力も速く、艦載機の進歩にも合わせやすい大型空母の方が、やはり望ましかったと捉えることができます。

 ただ、日本軍の戦艦に護衛空母が砲撃されたサマール沖海戦(1944年10月)のような事例では、アメリカ側が小型空母6隻ではなく、大型空母2隻であれば、早期に戦闘力を喪失していた可能性もあったことから、戦場につきものの「運」は無視できないとも感じる次第です。

【了】

【写真】旧日本海軍の同型艦なし空母たち

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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