宇都宮のLRTは「その先」へ行けるの? 終点は行き止まり“ほぼホンダ専用”か 工事は佳境
2023年夏の開業が予定されている芳賀・宇都宮LRT、中でも遅れていた末端部の建設が佳境を迎え、その姿が明らかになってきました。ホンダの工場の眼前に、終点の停留場が建設されています。では、“その先”の交通機関などは、どうなるのでしょうか。
山岳区間の趣きを呈するLRT最後の区間
栃木県宇都宮エリアの次世代路面電車「芳賀・宇都宮LRT」、愛称「ライトライン」の建設が、2023年1月現在、夏の開業に向け佳境を迎えています。宇都宮駅東口から続く大通りには軌道や停留場ができ、各交差点では、通常の信号とは別に設けられた「電車用信号」も稼働中です。試運転を除き電車はまだ走らないながら、市民が開業後の姿を思い浮かべられるレベルにきているのではないでしょうか。
工事が遅れていた「最後の区間」もだいぶ建設が進んでいます。全線14.6kmのうち、末端部にあたる芳賀町内の2.5km区間です。途中に芳賀台、芳賀工業団地管理センター前、かしの森公園前、芳賀・高根沢工業団地の4停留場が設けられます。
宇都宮駅方面からの線路は、芳賀工業団地管理センター前で左へカーブ。かしの森公園前~芳賀・高根沢工業団地間には、誰の目にも急勾配を上り下りするとわかる“V字型の谷”があり、電車は道路の真ん中を地形に沿って進みます。ここは最大勾配60パーミルになります。
ここから先はホンダの工場脇を通る区間で、現在は6車線道路の4車線を通行止めにして工事が進められています。終点の芳賀・高根沢工業団地停留場は、ホンダ正門の目と鼻の先。道路の真ん中に停留場が姿を表してきています。
この終点停留場は、1つのホームの両側に2線が設けられますが、その先に引き上げ線などは設けず、行き止まりの線形になるそうです。芳賀町によると「ほぼ企業関係者専用になるイメージ」で、電車を降りたらスタスタと工場へ歩いていく人がほとんどになると思われます。
なお、この停留場は高根沢町にもほど近いですが、高根沢町はLRT開業に合わせたバス路線の新設などは行わないそうです。では、この芳賀町のLRT沿線から“先”に行く交通機関はあるのでしょうか。
真岡鐵道の駅まで接続するべきだと思います
芳賀町工業団地管理センター前電停が存在する芳賀バイパスは、そこから東側も市貝バイパスとの接続点まではかなり道幅が広い(両側の歩道がそれぞれ 4.5m あり、中央分離帯と合わせると 10m 以上の余地があって、歩道をそれなりに残しても複線の線路が敷設できるはず)。芳賀・高根沢工業団地電停方面へ曲がる交差点に分岐器を設置してバイパスを東進し、市貝バイパスに入ったあたりで南に逸れると、3km 程度の専用軌道を建設するだけで真岡鉄道の多田羅駅に到達する。その区間には市貝温泉健康保養センターもあるので、電停を設置すればある程度の需要は発掘できそうだし(多田羅駅から 1km 程度とちょうどいい)、何より益子・真岡方面から宇都宮市街方向への新たな通勤動線に育つ可能性がある。
管理センター前電停の構造も芳賀バイパス経由の延伸を見越したものになっているような気がするが、芳賀町が祖母井以東を単独で整備するメリットはあまりないかもしれないので、益子町や真岡市あたりを巻き込んで何とかできないものか……。