旧ソ連のレア機ズラリ ウクライナ航空博物館を元キーウ市民が振り返る 「戦火やんだらまた行きたい」

2022年2月以降、行くことが難しくなった東欧ウクライナ。首都キーウには旧ソ連機などが多数集まるウクライナ国立航空博物館があります。かつて同国に住んでいた筆者が往時の博物館を振り返ります。

世界初の艦上垂直離着陸機Yak-38

 VTOL(垂直離着陸)戦闘機といえば、イギリスが独自開発した「ハリアー」や、日本が導入を決めたことでも話題になったアメリカ製F-35B「ライトニングII」などが有名ですが、冷戦中のソ連でも実用化されていました。それがYak-38です。

 なお、世界初の実用VTOL戦闘機はイギリスの「ハリアー」ですが、このYak-38は当初からソ連のキエフ級航空母艦に搭載することを目的に開発・実用化された機体で、ゆえに世界初の艦上VTOL機として認定されています。

「ハリアー」の艦載機仕様である「シーハリアー」よりも初飛行で7年ほど早く、なおかつ艦上運用を考慮して主翼の折り畳み機構などが盛り込まれていました。機体の色も当時のソ連のものとは違い海上で目立ちにくい青をベースとしたカラーとなっています。ただ、実用性に乏しかったことや事故の多さなどから、あまり飛ぶことなく退役しています。

 Yak-38は、間違いなくソ連当時の最先端技術が詰まった、ソ連機の挑戦の象徴といっても過言ではない機体だと思います。たとえるなら、冷戦時代、西側諸国に負けないというソ連のプライドを見受けることができる戦闘機といえるのではないでしょうか。細かい性能などはともかく、このソ連唯一の実戦配備された垂直離着陸機を実際の目で見ていただけたらと思います。

軍用機だけじゃない 民間機も充実

 なお、軍用機だけではなく、民間機もとうぜん展示されており、アエロフロート航空で活躍したIl-62や輸送機のIl-76、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)ではいまだ現役と言われているAn-2汎用機なども展示されているため、航空機ファンならここだけで一日中飽きずに過ごすことができるでしょう。

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2万機近く生産された一大ベストセラー複葉機An-2。ウクライナのアントノフ設計局が開発した名機である(大久保 光撮影)。

 前述したように、2022年2月以降、ウクライナは戦争の影響で簡単に行ける国ではなくなってしまいましたが、戦火が収まったら、その際には是非訪問し、ウクライナ国立航空博物館へと足を運んでみてください。

 ちなみに、博物館のある首都キーウは東ヨーロッパ特有の外観を持つ建物が並ぶとともに、日本食を提供する店も多い素敵な街です。プロライダーとしてヨーロッパ各地を転戦する筆者からしてもウクライナは居心地がよく2年半も滞在していました。

 ウクライナを愛する日本人のひとりとして、最後になりましたが一刻も早く同国での戦争が終結することを心より願います。

【了】

【異形さがクセになる!?】日米の航空機じゃ絶対デザインされない形状Yak-28U練習機ほか

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

Writer:

1993年8月11日、東京出身。レーシングライダーとして世界各国で活躍中。2010年全日本チャンピオン、2012年アジアチャンピオン。幼い頃にプレイしたエースコンバット2の影響で戦闘機好きになりレースの合間に各国の博物館を巡るのが趣味の一部となっている。

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