英「チャレンジャー2」戦車ウクライナへ 戦場の「ゲームチェンジャー」たりうるか?

湾岸戦争で実戦投入 「チャレンジャー」の真価は競技会にあらず

 1990(平成2)年に勃発した湾岸戦争にイギリス軍も派兵を決定し、その中に「チャレンジャー1」も含まれます。これを心配した当時のサッチャー首相は、何度も陸軍のレクチャーを受け、チェックを重ねてようやく承認したといいます。

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1991年湾岸戦争に参加した「チャレンジャー1」(画像:PHC HOLMES、Public domain、via Wikimedia Commons)。

 ロシアのウクライナ侵攻と偶然にも同じ日付の1991(平成3)年2月24日、本格的な機甲戦となる「砂漠の剣」作戦が開始されました。果たして「チャレンジャー1」は、イラク軍のT-72など戦車300両以上を撃破し、損害無しというワンサイドゲームを見せたのです。「チャレンジャーは競技会のために造られた戦車ではない。戦争をするために造られた戦車だ」と、イギリス第7装甲旅団を率いたパトリック・コーティングリー准将が戦闘後に語っています。

 イギリス陸軍は、「チャレンジャー1」の次の戦車にはM1や「レオパルト2」を輸入することも検討していましたが、この戦果を受けて「チャレンジャー1」の評価は大逆転し、1991(平成3)年6月には「チャレンジャー2」の採用が決定します。

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世界最強とも言われるアメリカのM1「エイブラムス」主力戦車(画像:アメリカ陸軍)。

「チャレンジャー」戦車の特徴は?

「チャレンジャー」の特徴は防御力の強さにあります。「第3世代」と呼ばれる現代の戦車の多くには、車体や砲塔の前面に鋼鈑とセラミック素材を組み合わせた複合装甲が使用されており、そして「チャレンジャー」は複合装甲の代名詞ともなった「チョバム・アーマー」を早くから実装しました。

 イギリスのチョバムにある王立装備研究開発機関が開発したことからこの名前が付き、実装を公表しているのはM1と「チャレンジャー」だけで、その組成など詳細は極秘となっています。「チャレンジャー2」は2003(平成15)年に勃発したイラク戦争でも、実戦で乗員に負傷者は出たものの戦死者は出しておらす、乗員から大きな信頼を寄せられています。

 また第3世代戦車が砲身に施条(ライフリング)のない滑腔砲を使用しているのに対して、「チャレンジャー」は施条のあるライフル砲を装備していることも特徴です。NATO標準の120mm砲弾が使えないというデメリットがあるものの、命中率が良く、安価な粘着榴弾(HASH)を使えるメリットがある、とイギリスは主張しています。もっとも「チャレンジャー2」の改良型となる「チャレンジャー3」では、滑腔砲が採用されるとのことです。

【画像】デカさ一目瞭然! T-72戦車と「チャレンジャー2」戦車の比較

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コメント

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1件のコメント

  1. >粘着榴弾(HASH)
    ググッてもHESH(High Explosive Squash Head)かHEP(High Explosive Plastic)しか出てこないけど別物かしら