なぜ駅から遠かった?「東急百貨店本店」55年の歴史に幕 “奥渋エリア”再開発で
昔も今も、渋谷開発への不変の想いが感じられます。
跡地には地上36階の高層ビル
東急百貨店本店(東京都渋谷区)が、本日2023年1月31日(火)19時をもって営業を終了します。同店は1967(昭和42)年11月、区立大向小学校が移転した跡地に開業しました。本日、約55年の歴史に幕を下ろします。
東急百貨店本店は、美術館やホールなどからなる複合施設「Bunkamura」を併設しています。しかし渋谷駅の北西およそ500mの場所に立地し、他社の百貨店のように“駅チカ”とはいえません。なぜ本店たる店舗が、ターミナル駅から離れていたのでしょうか。
『東急100年史』によると、渋谷のにぎわいが駅近辺に偏るおそれを考慮し、商業地としての面的な広がりを渋谷にもたらすことで、街全体の活性化を促すことを狙ったとあります。ただ、当初はスポーツセンターを建設する予定だったようです。
用地を取得した当時は東京オリンピック直前。対新宿・池袋を意識し、オリンピック施設やNHK放送センターなどと連携しながら、渋谷を活性化させようとします。ところがライバルである西武百貨店も渋谷に進出すると決まり、スポーツセンターより集客性の高い百貨店に転向したのでした。
東急百貨店本店の跡地には、2027年度の竣工を目指し複合施設が建設されます。地上36階 地下4階で、高さは164.8m。「Bunkamura」を含み延床面積は11万7000平方メートルです。リテール、ホテル、賃貸レジデンスを有します。東急グループは「Tokyo's Urban Retreat」というコンセプトのもと、松濤の静謐な住宅地、独自のカルチャーが息づく“奥渋エリア”の結節点において、安らぎと寛ぎを提供するとしています。
【了】
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