MSJ開発中止、導入待ち続けたANA&JALはどうする? 日の丸ジェット挫折の代替は難しい判断か

実は「MSJ後継はジェット機」とも限らず…?

 一方、74席をもつDHC8-Q400の後継を、ターボプロップ機で考えると、フランスのATRが手掛ける「ATR72-600」が最有力でしょう。72席を標準とするATR72-600は、ANAとコードシェア便を運航するORC(オリエンタル・エアブリッジ)でも導入されています。

 また、ATRはエアバス社とレオナルド社が共同パートナーシップを結んだ事業体で、エアバス系の航空機メーカーということができます。さらに現実として、旅客機市場で現在選べる70席級ターボプロップ機となると、ATR72の一択になります。

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ATR72-600(写真:ATR)。

 ただ、世界の航空需要予測はロシアによるウクライナ侵攻やコロナ禍で、下にブレている最中です。今後需要の回復が見込めなければ、新たな機種はMSJより小型にならざるをえなくなり、そうなるとターボプロップ機を増備する方向も大いに考えられます。ここに関しては、今後どのように航空需要が変動するのかという、各社の読みも問われることになるでしょう。

 それだけに、今回の開発中止は、JALとANAにとっては、先行きの読めない、厳しい状況での発表だったといってもよさそうです。しかし、いずれにせよ、「いったん立ち止まり」続けた結果として挫折したMSJを気にする必要はもうなくなったため、JALとANAの新機種選定は、多くの注目を集めそうです。

【了】

【画像】いまや幻…ANA塗装の「MSJ」&快適「A220」の機内など

Writer: 大場 芳

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コメント

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1件のコメント

  1. 買わなくてよかったよ。きっと車輪が外れてどっかに飛んでくよ