「インバウンド復活」に賭けるバス業界、実際どう?何が必要? 日本人より「交通を駆使」する外国人

「はとバス一強」ではなくなっている都内ツアー

 旅行会社が企画、集客し貸切バスをチャーターして実施する着地型ツアーと似たサービスで、バス事業者自身が国から許認可を得て運行する「定期観光バス」も重要です。

 都内では長らく、はとバスの独壇場でした。近年、日の丸自動車興業が、屋根のない二階建てタイプの車両を用い、車窓見学だけで立ち寄り観光をしない、いわば「準・定期観光バス」に後発参入し、訪日客にも人気です。

 同社はさらに3月から、東京と京都で、決められたコースを周回運行し、旅行者は観光地で自由に乗降し観光する「スカイホップバス」の運行も再開しました。地下鉄など公共交通機関が充実した日本の大都市では、乗降自由の「ホップオン・ホップオフ」タイプのバスはなかなか成功しないのですが、両都市での結果に注目です。

 東急トランセは、東急グループの拠点である渋谷地区を巡る、「狭域型」ともいえる定期観光バスを運行します。車内ではGPS技術による自動ガイドシステム「U・feel」、下車後は「ON THE TRIP」街歩きガイドという2つのIT技術を活用し、多言語で、エンターテイメント性の強い案内を提供するのが特徴です。「都市観光」に焦点を当てた新しいタイプのバスサービスと言えます。

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渋谷の定期観光バスとして登場した「SHIBUYA STREET RIDE」(画像:東急トランセ)。

地方で「AIデマンド交通」を駆使する外国人

 大都市以外の観光地は、大きく2つのタイプに分かれます。まず、スノーリゾートやビーチリゾートなどの滞在型リゾート地は、国際空港から直行する高速バスのニーズがあります。

 コロナ前から、北海道の新千歳空港~ニセコは3社が競合。沖縄の那覇空港から美ら海水族館のある本部半島へは、新規参入2社の路線が好調で、それを見た老舗事業者が慌てて路線を開設したという経緯があります。いずれも、ほぼコロナ前の水準まで便数を回復しています。長野県の白馬へは、羽田空港内の新しいバスターミナルから直行路線が新設されました。

 それに加え、地区内の移動確保も重要です。白馬村では、AIが最適なルートを判定し個人客が相乗りする「白馬ナイトデマンドタクシー」を実証実験として無料運行したところ、1日当たり200人近く、目標の2倍以上の利用がありました。国内客は滞在期間が短く、また宿での夕食を好みますが、FITの場合、夜は「街へ繰り出す」のです。

【羽田空港に爆誕】ほぼ外国人向け「マイクロバスの高速バス」(写真で見る)

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