「インバウンド復活」に賭けるバス業界、実際どう?何が必要? 日本人より「交通を駆使」する外国人

コロナで大きく落ち込んだ旅行業界、そしてバス業界が期待を寄せる「インバウンド復活」、実際のところどうなのでしょうか。今後も増えると見込まれる外国人旅行者を誘致するには、まず、関係者が“頭を切り替える”必要がありそうです。

待ってちゃ来てくれない! 狙うべき“国”は

 一方の「昇龍道フリーバスきっぷ」は、より具体的に周遊ルートを提示している点、「みつけたび」は、旅行会社のノウハウを活かし食事やアクティビティの手配まで完結する点が特徴で、こちらの方が合っている地方が多そうです。

 いずれの場合も、ただ待っていては観光客は来てくれません。地域の魅力や、逆に不利な点を理解した上で、ターゲットを定めて告知や販路づくりをする必要があります。

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コロナ前にも人気だった中国人向け「昇龍道フリーバスきっぷ」(画像:名古屋鉄道)。

 バス事業者の海外プロモーションを代行するオーエイチ(東京都渋谷区)の高橋英知社長は、「周遊型観光地の場合、お勧めするターゲットはタイだ」と言います。日本各地の空港へLCCの路線が充実しておりFIT比率が大きいこと、滞在期間が長く様々な地域を訪問する旅行者が多いことが理由です。既に、濃飛バス(岐阜県)がタイ語のパンフレットを新たに制作するなどの動きがみられます。

 またインバウンド向けの施策は、国や自治体の補助を受けやすいことから「AI」や「MaaS」など目新しいキーワードに飛びつく傾向があります。しかし、バス乗務員ら現場まで上手に巻き込めなければ、本当の「おもてなし」など実現しません。

 さらに歴史を振り返ると、日本の観光産業は国内の団体旅行により成長し、インバウンドも団体ツアーの受け入れから拡大しました。国内客は1~2泊程度の旅行が多いため、お隣の観光地は「ライバル」ですし、団体ツアーの場合、旅程を決めるのは旅行会社なので、つい「旅行会社をもてなす」ことになりがちです。

 しかし滞在期間が長いFIT誘致には、地域全体で協力し、かつ旅行者一人ひとりに焦点を当てる必要があります。

 日本の観光産業は、実は根底から事業モデルの転換を迫られているのです。

【了】

【羽田空港に爆誕】ほぼ外国人向け「マイクロバスの高速バス」(写真で見る)

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。

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