コスパ第一?「対戦車地雷」ウクライナが多用する理由 “戦車の大敵”と天秤にかける“戦後のリスク”

戦車をコスパ良く足止めし、撃破できる対戦車地雷。その威力の大きさとは裏腹に、信管がなければ、蹴とばしても、投げ落としても、ノコギリで切っても爆発しないそう。ただ、一度埋められると、その処理は各段に難しくなるともいいます。

対戦車地雷の構造とは

 戦闘が長期化し、泥沼化しつつあるロシアとウクライナの戦い。戦車が足りないウクライナ軍は大量に押し寄せるロシア軍戦車に手を焼いているようです。そのため、ウクライナ軍はロシア軍の侵攻速度を遅らせるため、国内各所に多くの地雷を埋設している模様です。

 裏返すと、この埋設された地雷の処理は近い将来問題になるでしょうが、一口に地雷といっても用途に応じて対人用と対戦車用の2種類が存在します。両者のうち、戦車を始めとした装甲戦闘車両を足止めするために使われるのが、後者、すなわち対戦車地雷です。

Large 230315 mine 1

拡大画像

ウクライナ国内で炎上するロシア軍戦車(画像:ウクライナ軍参謀本部)。

 そもそも、対戦車地雷とは、分厚い装甲を持つ戦車や装甲車を破壊するほどの威力を持った兵器です。いくら強固な装甲を持った戦車といえども、基本的に車体下部は装甲が薄く、なおかつ走行するため必須となる履帯(キャタピラ)全体を装甲で覆ってしまうことなど無理です。そのため、ある意味では戦車の弱点は足回りともいえるでしょう。

 対戦車地雷を形容するなら「戦車の弱点を鋭く突く」兵器といえますが、中に詰められている爆薬は、強烈な爆発力を発揮する反面、作動するまでは非常に鈍感なものでもあります。

 ゆえに、信管が取り付けられていない対戦車地雷の本体は、たとえ蹴とばしても、投げ落としても、ノコギリで切っても、さらには小銃弾を撃ち込んだとしても爆発することはありません。

 一方、対戦車地雷に取り付ける信管には非常に敏感な火薬が充填されています。つまり、対戦車地雷とは、鈍感で威力がある爆薬に、敏感で威力が小さい信管を組み合わせることで、起爆するような仕組みになっているといえます。

【元陸自隊員が激写!】地雷埋設の方法&処理の仕方の解説写真

テーマ特集「ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか」へ

最新記事

コメント

Leave a Reply to 柴田 悠 Cancel reply

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. ウクライナ軍は陸上自衛隊のように地雷の設置位置情報地図を作成していると思いますし、
    ウクライナ戦争はネットワーク戦争と呼ばれて居ますから、
    地雷の位置情報地図は周辺の部隊及びウクライナ軍本部にも共有されていると思われるから、地雷設置した部隊が全滅しても地雷設置情報が共有済みで把握している可能性が高いです
    砲弾で空中散布する対戦車地雷も散布範囲散布数も記録して有る可能性が有ります
    その為、場所が分かっているウクライナ側の地雷の撤去は比較的容易と思われます、

    特に反撃する時にウクライナの戦車の邪魔にならないようにする必要がある為、地雷の詳細な位置が分かっていれば素早く進軍が可能になります

    問題はロシア軍がいい加減に無計画に地雷設置する上、周辺のロシア部隊にも伝えてなく、
    ロシアが設置した地雷でロシア戦車等が破壊されるなどの損害が度々起きている事で、
    無計画に何も記録残さず仕掛けまくったロシア側の地雷処理が大きな問題になると想います。