壮大だった“伝説の未成線”ついに一般開放へ バスが走った幻の鉄道「五新線」地域はどう活かす?
旧国鉄の数ある未成線のなかで、とりわけ知名度が高い「五新線」が、ついに一般開放されます。かつて国鉄バスの専用道として使われた鉄道施設を、地域の負の遺産とせず観光資源に活かす取り組み、今後どう実を結んでいくでしょうか。
ついに未成線を一般公開 往時の光景が甦る?
そして2023年、ついに五新線の鉄道路盤のうち、賀名生~城戸間が一般開放されることになりました。バス道の頃は原則として関係者以外は立入禁止でしたので、堂々と歩けるのは貴重な機会です。
4月1日に旧国鉄バス城戸駅付近で開催される「五新鉄道トレインパーク」は、そのお披露目イベントです。五新線関連のイベントの開催4年ぶりとなります。城戸駅跡から国鉄バスで1つ先にあった黒渕バス停付近までの約1kmが公開され、「幻の五新鉄道を走らせよう」とのテーマで、木製レールを700mほど敷設して、児童向け鉄道玩具を走らせることができるそうです。5インチの乗用列車も運行するほか「五新線弁当」が販売されたり、キッチンカーが参加したりと賑やかなイベントなりそうです。
参加協力金は1000円(こども無料)。駐車場と会場を結ぶシャトルバスに、いすゞの国鉄色バスなどマニアックなバス3台が充当されるのも注目したいところ。ただ、未成線の役割を引き継ぐ五条駅からの奈良交通バスは、土曜日だと本数が極めて少ない点は要注意です。
4月以降の五新線トレインパークについては、月に2回程度、開催していく方針が決まっています。ただ日時は不定期のため、運営主体である五新線再生推進会議のウェブサイトで確認をおすすめします。
なお、運営NPO法人の副理事長に聞くと、近い将来、城戸から賀名生まで4kmを公開し、ゆくゆくは未成線跡にバスを走らせる計画があるそうです。キックボードの導入も検討しているとか。未成線跡を回るならクルマでの利用になると思いますが、ぜひ機会を見つけて訪れてみてください。2月から3月、賀名生の梅林が満開となる時期がおススメです。
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Writer: 森口誠之(鉄道ライター)
早稲田大学卒業後、出版社編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。国内外の自動車や道路、公共交通などを取材し各種メディアや講演で発表。近年は自動運転、MaaS、スモールモビリティに注力。モビリティやまちづくりのリサーチ・コンサルティングを担当する株式会社モビリシティ代表取締役も務める。著書に『パリ流環境社会への挑戦』(鹿島出版会)、『MaaSで地方が変わる』(学芸出版社)など。
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