国鉄と張り合った元「海の特急」どうなる? 船齢63年の現役船「ロイヤルウイング」の正体

「くれない丸」時代の名残を発見!

 横浜港をのんびりと周遊する今の「ロイヤルウイング」からは考えられませんが、阪神~別府航路に就航していた当時は、国鉄に対抗する「海の特急」として巡行速力18ノット(約33.34km/h)という快速で瀬戸内海を駆け抜けていました。搭載する主機(エンジン)はスイスのスルザーが設計し、新三菱重工がライセンス生産した6気筒2サイクルディーゼル(三菱神戸スルザー6TAD48)で、コントロール台の上には当時の銘板を「ロイヤルウイング」となった今でも見ることができます。

 加えて船体も、船首からファンネル、そして丸みを帯びた船尾へと流れる美しい流線形のデザインが特徴となっていました。

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横浜港を母港にするレストランシップ「ロイヤルウイング」(深水千翔撮影)。

 大きな期待をかけられていた「くれない丸」は、動く観光ホテルがコンセプトとされ、快適な居住性、豪華な内装とともに、頻繁な離着岸と長期の使用に耐えられるだけの性能が求められていました。

 船内装飾は関西汽船が基本方針を示しつつ、高島屋が設計・施工を手掛けており、内航客船としてはトップクラスのグレードを誇っていたと言われています。観光船として昼間に航行することを前提としていたため、乗船客に風光明媚な瀬戸内海の景観を楽しんでもらえるよう、大型の窓を「1等ラウンジ」と「1・2等ダイニングサルーン」の各部屋に設置。加えて船体後部には「娯楽室」を設け、そこで映画の上映やダンスパーティーなどのイベントを行っていました。

 船体には「ハーパーグリーン」と呼ばれる薄い緑色の塗装が施されており、白と黒のツートンカラーの船ばかりだった関西汽船の中で大いに目立っていたことでしょう。

「ロイヤルウイング」に乗船するとかつての面影はないように見えますが、Bデッキ「フリージア」の前部はかつての「1等ラウンジ」、Cデッキ「ローズ」の前部はかつての「1・2等ダイニングサルーン」であり、曲線を描いた壁と角窓から別府航路時代の眺望を想像することができます。

【チン・チン・チン!】趣きある「ロイヤルウイング」操舵室や機関室も(写真で見る)

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コメント

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2件のコメント

  1. たまたまが重なってるだけなのかもしれないけど、船舶系のネタがほとんどスーツくんが長編動画のネタとして出したものと被っていて、スーツくんの動画が出てから3ヶ月〜半年くらい遅れて記事になっている気がするんですが、コラボ?インスパイア?パクリ?たまたま?

  2. ロイヤルウィング(くれない丸)63年お疲れ様でした。大阪を離れてからもずっと遠くから見守って居ました。とうとうこの日が来てしまいました。これからはゆっくりと休息…
    ロイヤルウィングのニュースを目にするたびに楽しかった遠い青春時代を思い出しては懐かしんでいました。何だか淋しいです。
    これから先がどう成るのか気がかりです。
    妹船むらさき丸はすでに解体されてしまい
    ましたが何とか残して欲しいです。