国鉄と張り合った元「海の特急」どうなる? 船齢63年の現役船「ロイヤルウイング」の正体
平日火曜日には操舵室見学も
「くれない丸」、そして「ロイヤルウイング」の運航を60年以上にわたって支えているのが、竣工当時から変わらないエンジンと、今では珍しい水圧式の操舵スタンドです。
船の前後進やエンジンの回転数などをブリッジから機関室へ指示するエンジンテレグラフはもちろん現役。ブリッジでテレグラフのレバーを動かすと、機関室側にあるテレグラフの矢印が動き、それに合わせて手動で操作を行います。左右両舷に1基ずつ搭載されている主機は別々に操作する必要があるため、航海中はそれぞれのエンジンに機関部員がついています。昔ながらの大きな舵輪とエンジンテレグラフを組み合わせて操船を行っている客船は、国内では「ロイヤルウイング」が唯一です。
ちなみに、平日の火曜日限定で、ランチクルーズに「操舵室・機関室」見学プランというものがあり、一般の乗客でもレトロな舶用機械を間近で観察できます。
なお、「ロイヤルウイング」となってから船首側にスラスターを装備したものの、基本的に離着岸や回頭は「くれない丸」時代と同じように、プロペラと舵の調整だけで行っており、横浜港大さん橋からは職人技とも言える操船を眺めることができます。
このように貴重な存在である「ロイヤルウイング」ですが、冒頭に記したように残念ながら2023年5月上旬をもって運航休止となることが決まっています。代替新造船の計画があることから、このまま引退する可能性があります。60年前の技術を今に伝える歴史的な遺産としての登録や保存を求める声も上がってはいるものの、今の船体がどうなるかは決まっていません。
ちなみに、2023年1月には「くれない」の名を継いで、大阪~別府航路に日本初のLNG(液化天然ガス)燃料フェリー「さんふらわあ くれない」(1万7114総トン)が就航しています。わずかではありますが、2隻の「くれない」が現役で併存しているこの状況、いまのうちに先代「くれない丸」であった「ロイヤルウイング」の航海を味わいに行くのも良いのではないでしょうか。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
たまたまが重なってるだけなのかもしれないけど、船舶系のネタがほとんどスーツくんが長編動画のネタとして出したものと被っていて、スーツくんの動画が出てから3ヶ月〜半年くらい遅れて記事になっている気がするんですが、コラボ?インスパイア?パクリ?たまたま?
ロイヤルウィング(くれない丸)63年お疲れ様でした。大阪を離れてからもずっと遠くから見守って居ました。とうとうこの日が来てしまいました。これからはゆっくりと休息…
ロイヤルウィングのニュースを目にするたびに楽しかった遠い青春時代を思い出しては懐かしんでいました。何だか淋しいです。
これから先がどう成るのか気がかりです。
妹船むらさき丸はすでに解体されてしまい
ましたが何とか残して欲しいです。