「我々は7691名のパイロットを救った」軍用機“射出座席”メーカーの矜持 緊急脱出後に待つ世界とは

ネガティブイメージある航空機事故、マ社の見解は?

 マーチン・ベイカー社によれば、同社の製品を装備した航空機は84か国で54種類にもなり、総計で1万7000以上の射出座席が使われているそうです。

 これだけ多くの機体に搭載されると、戦闘機を含む軍用機の事故が起きた際には、必然的に同社の製品が関わることが多くなります。マーチン・ベイカー社ではTwitter(ツイッター)などの公式SNSを運営していますが、そこでは軍用機事故などで同社の射出座席が使われると、その詳細が日時・場所・事故機とともに速報的に投稿されます。

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「アバロン2023」に出展したマーチン・ベイカー社の現地法人のブース。同国空軍の射出座席で生還した乗員の名前が一覧で掲示されていた(布留川 司撮影)。

 なお、オーストラリアで開催された国際エアショー「アバロン 2023」の出展ブースでは、その実績として同国空軍でマーチン・ベイカー社の射出座席で生還したパイロットの名前が一覧で掲示されていました。同様の展示は日本で開催された防衛展示会「DSEI Japan 2023」でも行われており、航空自衛隊のF-4「ファントムII」に搭載されたMk.7(H7AF)で生還したパイロット20名の名前を見ることができました。

 一般的に航空機事故に関する報道はネガティブなイメージが強く、同社のこれらの投稿や告知は、たとえ事故の時に使われる射出座席あっても、多少の違和感を覚える人が多いかもしれません。筆者はオーストラリアでの「アバロン 2023」において、マーチン・ベイカー社の出展ブースを訪れた際、そこにいた同社スタッフにSNS投稿をし続ける理由について聞きました。

 するとスタッフは次のように即答してくれました。「(我々の製品が)パイロットの命を救ったから」だと。

【F-35戦闘機からの射出シーンも】マーチン・ベイカー製の各種射出座席ほか(写真で見る)

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