「我々は7691名のパイロットを救った」軍用機“射出座席”メーカーの矜持 緊急脱出後に待つ世界とは
総計約7700名もの人命を救った実績!
マーチン・ベイカー社では、自社の射出座席の使用例をすべて把握しているそうで、2023年3月末の段階で、これまでに生還した累計人数は7691名にもなるといいます。ちなみに、同社の射出座席で生還した乗員のみが入会できる「イジェクション・タイ・クラブ」という団体も存在し、そこには現在6000名以上のメンバーが所属しているのだそう。
また、メンバーたちの実際の射出座席の使用例の多くは、マーチン・ベイカー社の公式WEBサイトで公開されており、誰でも見ることができます。
このような首尾一貫したPRは、自社製品の宣伝という簡単なものではなく、射出座席メーカーとしての信念と誇りの表れとも言えるのではないでしょうか。
もともと、マーチン・ベイカー社は航空機を開発・製造するために設立された会社でしたが、その開発中の試験飛行で創業者のバレンタイン・ベイカー氏が死亡。その悲劇的な事故は、もう1人の創業者であるジェームズ・マーチン氏の生き方にも影響を与え、この会社が射出座席の開発へと進んだきっかけになったとも言われています。
同社にとっては、射出座席の開発・製造は単なる企業活動としての側面を超え、創業者の尊い犠牲とそれによって生まれた強い意思によって生まれた活動となっており、それは現在に至るまで連綿と受け継がれているようです。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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