陸自最大サイズの巨砲「203mm自走りゅう弾砲」まもなく退役 進む“火砲リストラ” 最後の部隊は

最後まで運用するのは道央の部隊

 203mm自走りゅう弾砲は、トータルで91両が生産され、一時は北海道を中心に、東北、首都圏、九州でその姿を見ることができました。

 しかし、やはり導入から30年ほど経過し老朽化と陳腐化が進行したことなどから、2007年以降退役するようになります。加えて2013年に政府が策定した防衛計画の大綱で火砲の保有数が、牽引砲と自走砲合わせて300門/両に制限されたことから、削減の対象にもなり急速に数を減らしていきました。

 その結果、冒頭に記したとおり、いまや203mm自走りゅう弾砲は10両強にまで減少しています。

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かつて陸上自衛隊が装備していた牽引式の203mmりゅう弾砲(柘植優介撮影)。

 実動部隊として運用しているのは、北海道の上富良野駐屯地に所在する第4特科群第104特科大隊のみ。この部隊が、2023年度末で廃止される予定のため、それをもって203mm自走りゅう弾砲は陸上自衛隊から姿を消し、約70年にわたって連綿と装備されてきた203mm(8インチ)という砲弾の規格も消滅することになります。

 陸上自衛隊で退役目前の装備というと、74式戦車がよく話題に上がりますが、実はそれよりもレアになってしまった車両が203mm自走りゅう弾砲だといえるでしょう。

 なお、来る6月4日(日)には上富良野駐屯地の創立68周年記念行事が予定されています。一般開放で開催できるよう準備を進めているとのことで、もしかしたら203mm自走りゅう弾砲の最後の勇姿が見られるかもしれません。

【了】

【息を合わせてイチ、ニー!】203mm自走りゅう弾砲の射撃&砲身清掃シーンほか

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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1件のコメント

  1. ウクライナ戦争を鑑みて、せめて倉庫に保管しておくぐらいの裁量をもてる人になりたいものだ...