“お帰り! 日本の技術遺産” 旧軍「九五式軽戦車」クラファン支援者へ披露 試乗も

今後は静岡県御殿場市で動態保存されます。

富士山のふもとを元気に疾走

 2023年4月16日、NPO法人「防衛技術博物館を創る会」は昨年末(2022年12月)に日本へ里帰りさせた九五式軽戦車のお披露目会を御殿場市の特設会場で実施しました。

 同戦車の里帰りについては、前のオーナーであるイギリス人コレクターからの買い戻しや、日本までの輸送に関する諸費用を、クラウドファンディングによって調達したことから、今回のお披露目会はその支援者を対象に、報告会を兼ねる形で行われたものです。

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日本に里帰りした九五式軽戦車。奥に見えるもう1両の九五式軽戦車はレプリカ(布留川 司撮影)。

 会場には、クラウドファンディングの支援者約500名が参集。当日はお披露目会に先立って、最初に安全祈願のお清め祓い式が厳かに実施されました。

 続いて、九五式軽戦車の展示走行を実施。会場は自衛隊の東富士演習場に隣接した場所を用いた臨時エリアのため、整地されていないなどイベントを行うには少々足元が悪い場所であったものの、戦車にとってはその走破性がアピールできる絶好の機会だったと言えるかもしれません。

 なお、サプライズとして「くろがね四起」こと、九五式小型乗用車や、海外ドラマなどで使用された九五式軽戦車のレプリカも展示され、貴重な旧軍車両が一堂に会する様子も見ることができました。

 また展示走行後は、クラウドファンディングで「体験搭乗リターン」を購入した支援者を載せての体験走行も行われています。

 九五式軽戦車の操縦は、NPO法人の代表である小林雅彦理事が担当。戦後初の里帰りのお披露目会が、日本人の手による操縦で実施されたことは、ある意味で感慨深いものといえるでしょう。

 不安視されていた天候も、朝方は濃い霧が出たものの、時間が経つにつれ晴れ間が見えるようになり、富士山も時折、顔をのぞかせました。

 今後、NPO法人の活動は九五式軽戦車の里帰りで終わることはなく、その名前にあるとおり、防衛技術博物館の開設を目指し、まい進していくとのこと。今後の動きにも目が離せません。

【了】

【貴重! 車内も】富士山のふもとを走り回る「九五式軽戦車」の様子ほか

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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