今後何十年も? 北陸新幹線「敦賀乗り換え」の不都合 関西→福井の利用者数はかなり微妙な評価も

時短にならない福井~大阪

 敦賀駅には高さ37mの巨大な駅舎が完成し、新幹線ホームは高さ24m、8階建てのビルに相当する場所に設置されます。駅の前後の地形、特に国道8号のバイパス道路を跨ぐ構造のため、仕方ないようです。

 在来線特急ホームはその真下の地平部に位置します。14基のエスカレーターが両ホームを結びますが、鉄道・運輸機構の試算では上下の移動に5分かかるとしています。実際の乗換時間は余裕を持たせて8~10分は必要でしょうか。

 昨年開業した西九州新幹線武雄温泉駅と比べると不便なのは否めません。同駅では新幹線と特急が同一ホームで平面移動できるので乗換時間は3~4分に設定されています。

 このため、福井県内から大阪への移動時間は現行とあまり変わらないのです。

 福井県資料によると大阪~福井間の所要時間は1時間47分とされています(敦賀駅の乗換10分)。所要時間は今の「サンダーバード」より4分短縮するに留まり、逆に特急料金は約600円アップすると試算しています。

 福井市の南側にある越前市(武生)、鯖江市の利用者にとってはさらに微妙です。

 北陸新幹線の越前たけふ駅は北陸自動車道武生ICの南隣に設置されます。国道8号から程近いのでパークアンドライドでのアクセスは良いのですが、武生駅から5km、鯖江駅から7kmほど離れているのをどう考えるのか。

Large 230421 tsuruga 02

拡大画像

建設中の敦賀駅。高さ37mの巨大駅舎は2023年2月にようやく全景が現れた(画像:JRTT鉄道・運輸機構)。

 現在、特急は武生~敦賀間を20分で結びますが、新幹線は越前たけふ~敦賀間でおそらく12分程度。大阪方面へ行くには敦賀駅で乗換が必要となるので今の「サンダーバード」より所要時間は長くなりそうです。速達効果は実感できないでしよう。

「新幹線連絡」担う在来線は問題を抱えたまま

 在来線特急には湖西線問題もあります。

 湖西線は踏切のないほぼ高架路線であるため、最速130km/hで走行可能なのですが、秋から春にかけての時期、日本海から比良山を超えて琵琶湖へと流れる強風「比良おろし」に見舞われます。秒速25mを超えると運転規制が入るため、たびたび速度規制や運転見合わせが起きます。

 2008年以降、比良~北小松間などで防風柵を設置して運転見合わせ時間は以前の3分の1になったようです。ただ、この冬も何日か湖西線の運転見合わせが実施され、「サンダーバード」は米原駅・東海道本線経由で運転されました。遠回りになるため20~40分は遅延します。このほか、東海道・山陽本線など他線の遅延の影響を受けることもあるでしょう。敦賀駅で予定していた新幹線に間に合わなくなることがしばしば起きそうです。

【え…もはや別の駅…】 新幹線「敦賀駅」の構造(画像で見る)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. 金沢にいると、話し言葉的には関西弁に近い訛りがある印象。
    それを(一時的とはいえかなりの年数)分断するような感じになるんだよねぇ。

    先日乗ったら、金沢→関西(主に京都?)方面を移動する外国人観光客が多かった。
    杞憂するほどでも無いとは思うけど、敦賀乗り換えでこういう旅行が敬遠されたりして。

  2. 23年後とか話にならないわ
    高速道路にバンバン予算を注ぎ込んでるのが原因なんだろうけど、こういうところはどうにかならないのかね
    早く新大阪に繋がないと飛行機にシェア撮られて23年も赤字を垂れ流す未来しか見えない