そして伝説へ「世界一危険なエアレース」半世紀の歴史に幕 累積30人超の死者 なぜいま終わるのか

50年以上の歴史を持つ世界最大・最速の飛行機レース「リノ・エア・レース」が2023年9月の開催を最後に幕を閉じます。なぜレースを止めることにしたのか、その理由は切実でした。

アメリカでは大戦機なぜ飛ばせるのか?

 こうしたド迫力のエア・レースを可能にしているのは、「エクスペリメンタル・カテゴリー」と呼ばれる航空機によるフライトです。「エクスペリメンタル」とは「実験機」を意味する言葉で、これらは型式証明を持っていませんが、アメリカでは基準さえ満たしていれば、そんな航空機でも自由に飛行が可能です。

 この制度のおかげで、軍役を終えた様々な機体が民間に払い下げられ、エクスペリメンタル・カテゴリーの航空機として各地で飛び続けているのです。なお、この制度がないのはG7先進主要国の中では日本だけです。

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「リノ・エア・レース」でフライトするT-6「テキサン」(画像:Reno Air Racing Association)。

 日本では、昔造られた航空機を飛ばすのが難しい点について、ファンやマニアのあいだで議論されることがよくあります。その際に焦点となるのは、金銭的事情やメンテナンスだったり、保管場所の確保だったりしますが、それ以外にも前出したような制度上の問題が大きくかかわっています。

 翻ると、そういう航空機に親しむ土壌がないからこそ、航空産業も育たないと言えるのではないでしょうか。日本の航空産業を育成するために必要なのは、設計や生産技術だけではなく、リスクを見極めコントロールする技術と制度も含まれるのではないかと、筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は感じています。

 エア・レースをする必要はなく、とうぜんながら安全性の確保は必須ですが、そのような形にしないと、技術遺産としての飛行機はすべて博物館などでの静態保存しかできなくなってしまうのではないでしょうか。

【了】

【日本じゃ無理!】爆音轟かせ飛び回る往年の名機たちをイッキ見

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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  1. 制度があろうと金が無ければ普及しない

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