確かにスゴそうな“最良戦闘車”「ヤークトパンター」ヒトラーの一目惚れでも結局使えなかったワケ

「大戦最良の中戦車」+「大戦最強の戦車」=?

 この「ティーガーI」の順当発展型として、ドイツがさらに開発したのが、同車に避弾経始を導入してさらに重装甲化したうえ、同じ8.8cm口径ながら、発射薬量の多い砲弾を使用し、より長砲身で優れた威力を発揮する“最強の8.8cm戦車砲” を搭載した「ティーガーII」です。

「ティーガーII」は、従来の「ティーガーI」を上回る攻撃力と防御力を持っていたことから、ドイツ語で「王虎」を意味する「ケーニヒスティーガー」(ケーニクスティーガーとも)という愛称が付けられ、文字通り「第2次大戦最強の戦車」として運用されました。

 そこで、ドイツ開発陣はひらめきます。「第2次大戦最良の中戦車」であるパンターの車体に、「第2次大戦最強の戦車」の主砲を組み合わせたら、超強力な戦闘車両ができ上がるのではないかと。

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「ヤークトパンター」の車体のベースになった「パンター」戦車(柘植優介撮影)。

 実際には、「ケーニヒスティーガー」の長砲身8.8cm砲を転用した対戦車車両を設計するにあたり、「パンター」戦車の車体が用いられた形です。なお、「パンター」の砲塔容積では「王虎の牙」こと「最強の8.8cm戦車砲」を載せることは困難であったため、車体に直付けし、回転しない固定式の戦闘室を設ける形を採っています。これにより全周旋回砲塔こそ備えていないものの、低車高で重装甲の車体に、超強力な8.8cm戦車砲を持つ、まさに「王虎」と同等の強力無比な駆逐戦車が完成したのです。ちなみに同砲は、既存の敵戦車を2500mから3000mの射距離で撃破可能でした。

 こうして生まれた、高い攻撃力と強固な防御力を兼ね備えた対戦車車両を一目で気に入ったのが、戦車好きで知られたヒトラーでした。彼はその性能を鑑みて「本車1両は『王虎』数両分の価値がある」とまで言ったとか。そこまで惚れたからこそ、自らの手で「ヤークトパンター」と命名したようです。

【ヒトラーも見たアングルかも?】「ヤークトパンター」を上から後ろからイッキ見

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コメント

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2件のコメント

  1. 戦場に必要なのは、頑丈で故障がなく、そこそこの性能で数を揃える事ができる兵器ですからね。
    ケーニヒスティーガーが1両だけあっても、T-34/85が100両で来たら、ケーニヒスティーガーが弾切れ等で半分以上は通過させてしまう事になるからね。

  2. パンターも結局四号戦車を置換えられなかったからね。
    ヤークトパンターも四号戦車L70と混成で、そこそこ活躍できた。