「明日から“左側通行”です」 5000kmの道路施設“全取り替え”一体どうやって? 沖縄「ナナサンマル」の記憶

1972年5月15日、27年間のアメリカによる統治が終わり沖縄県は本土への復帰を果たしましたが、まだ問題が残っていました。アメリカの名残で、クルマの進行方向が本土とは逆の右側通行だったことです。

具志堅用高さんが「人は右!クルマは左!」とジャブ

 県が管理する警戒標識や案内標識だけでも2151本の変更が必要で、県全域で日夜作業が行われたそうです。沖縄県では早ければ5月に台風が来るときもあり、道路標示が乾ききらずに苦労したという話もありました。また、交差点の隅切り作業などでは、道の変更だけではなく、建物ごと撤去になるケースもあり、土地所有者と交渉することもしばしばだったようです。

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ナナ・サン・マル運動のロゴ(画像:沖縄県公文書館)。

 工事が終わっても、標識や路面標示が左側用、右側用のふたつが存在してしまってはいけません。そのため変更日当日まで左側標識にカバーをかけ、変更後に反対側の標識を隠し、その後、撤去する方式を採用したそうです。路面標示に関しても同様で、変更当日まで特殊なカバーが貼られていました。

 もちろん、道路を利用する人にも交通ルールが変わることの周知が必要です。そこで沖縄県は、専用ロゴを作成し、各メディアを動員しての「730キャンペーン」を展開しました。著名人としては、当時プロボクシング世界王者になったばかりの具志堅用高さんがCMに出演し、「人は右! クルマは左!」と左右のジャブを繰り出しながら交通ルールが変わること呼びかけました。

 また当時、沖縄には約30万台の自家用車・商用車と1295台の路線バスが存在していました。左ハンドルの自家用車はヘッドライトの照射範囲を調整しなくてはなりませんでしたが、その台数は約25万台に及び、とても間に合いません。そのため、ライトごと交換するまでテープを貼って照射範囲を調整するなどの応急処置がとられたそうです。

 バスに関しては乗降口が左側に設けられたバスが必要になるため、新車を購入するしか選択肢がなく、1978年7月30日から走り始めたこれらのバスは通称「730(ナナサンマル)バス」と呼ばれることとなりました。

【了】

【変更当日】道路標識や自動車表記のカバーをはがす職員(写真)

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