成田空港の「世界でも類を見なかった」珍区画… 地面に大胆な“緑の縞模様” 一体何のため?
実はなくても大丈夫じゃ…「ナゾ区画」誕生の背景
成田空港のB滑走路は、これらの重大インシデントと事故の2年後にオープンしています。当時を覚えている空港勤務者によると、やはり誤って滑走路手前の予定地へ降りることが心配され、平行滑走路の予定地に縞模様が設けられたそうです。
ただ、実は多くの航空機では電波で誘導されており、照明設備もあるため、視界が非常に悪い荒天でも安全に誘導され、着陸できます。同滑走路の南側にも、この誘導装置が装備されています。このため、縞模様は「本当に必要なのか」との声もあったとか。
しかし、海外でも滑走路や誘導路への誤進入や誤着陸は発生しているほか、滑走路とその予定地の間に家屋がある空港自体、あまり例を聞きません。
それに加え平行滑走路はオープン時の全長が2180mしかなく、空港反対闘争を象徴した存在だったため、マスコミも問題点を多く探そうと取材に熱を上げていたそうで、そういった内容が多く報じられています。新滑走路供用へ向けて緊張が高まる状況下で運用者側は、他空港での「失敗の教訓」から、少しでも安全を高めようとしたのでしょう。こうしてオープン直前の3月、縞模様が姿を現したのです。
緑色の縞模様は、とてもセンシティブな時期と環境下で安全運航を確保しなければならないなか、1つの空港にとどまらず問題点を洗い出し、万全の策を練って生み出した産物だったのです。
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Writer: 加賀幸雄(旅行ライター)
日本各地の名産や景勝に興味があり、気ままに目的地を決めて2泊3日程度の 小旅行を楽しんでいる。
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