隠れ防衛企業? OKIが保有するナゾの船が公開 “潜水艦の目”で「民間分野拡げたい!」
成長が見込める海洋エンジニアリング事業を拡大するために
現在、OKIコムエコーズが開発を進めているものとしては、「船舶無線ひずみセンサー」と「音響測位装置」があります。
船舶無線ひずみセンサーは、船体に生じるひずみや衝撃をモニタリングして船の維持・保守を支援するためのデータを取得する装置です。それをビッグデータ化することで、安全運航や船体設計へのフィードバックが期待できます。
なお、これに関してOKIコムエコーズの大塚竜治社長は、「太陽光パネルで発電するため電源供給がいらず、データは無線で飛ばせるため、新しい配線が不要な構造をしている。すでに運航している船にも取り付けることで状況を監視できる」と述べています。
同装置は現在、日本海事協会、日本郵船グループの株式会社MTI、今治造船とジャパンマリンユナイテッド(JMU)の営業・設計合弁会社「日本シップヤード(NSY)」と共同で開発が進められています。
もう一つの音響測位装置は、海中での土木工事の省人化を目指して開発が行われています。これまで海洋土木工事で使用される水中バックホウは、潜水士が直接操縦してきましたが、遠隔カメラの活用によって、船上からリモートで操縦することが考えられています。ダイバーの目視に頼らず正確な施工場所を特定するために、音響測位装置が活用できるとのことです。
OKIは民間分野でも成長が見込まれる海洋エンジニアリング事業の拡大に向けて、海上計測バージ「SEATEC II」の更新に着手。開口部や作業室を拡大し、全長8mのUSVのセンサーテストなども行えるようにします。
OKIコムエコーズの大塚社長は「我々が持っている機器やシステム、センサー、データ処理など世の中に展開できることはある。まずは市場に展開し周知し、新しい技術を広げていきたい」と意気込んでいました。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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