ウクライナ兵器の「国内生産」「NATO化」着々? 国産戦車の変貌に見え隠れする独企業 反転攻勢後の筋書きとは
ウクライナにはNATO規格戦車を造った前例あり
振り返ってみると、ウクライナは旧ソ連時代、自国領内で同連邦軍向けに戦車の開発と生産を行っていました。その基盤は、ウクライナ独立後も維持され、1990年代後半にはT-80をベースに性能向上を図った新戦車T-84を開発。2000年代初頭には、さらなる改良型として「オプロート」を生み出しています。
当時のウクライナは、小麦を始めとした農産物以外には諸外国の目を引くような輸出品がありませんでした。そういったなか、戦車は貴重な外貨獲得手段として積極的に用いられ、「オプロート」もかような経緯で、当初から輸出をも想定した開発が進められていました。
そのため、「オプロート」は採用国のニーズに応じて、兵装も含む搭載システムを換装できるように設計されており、その一環で、2000年ごろにはトルコへの提案用にNATO規格の120mm滑腔砲を搭載した「ヤタハーン」というモデルを製作しています。
ただ、当のウクライナ軍自体は、慢性的な予算不足からT-84や「オプロート」といった新型戦車を大量調達することはできず、各々数両ずつの調達に留まっていました。
しかし、2022年2月にロシアが侵攻してきたことで状況は一変。新型戦車が1両でも多く欲しいウクライナ軍としては、「オプロート」を大量生産して自軍で使いたい気持ちは当然あると推察できます。
そのようななかでのラインメタル社とウクロボロンプロムの提携は、NATO側との弾薬の互換性、すなわちラインメタル社系のNATO規格の120mm滑腔砲の搭載のみならず、もしかしたら、パワープラントの互換性をも模索することもできるのではないでしょうか。もしそうなった場合、ウクライナ軍が新たに発注する「オプロート」は、従来の「オプロート」というよりも、NATO規格の120mm滑腔砲と西側のパワープラントを搭載する、前出の「ヤタハーン」の発展型のような「NATOの血が濃い」MBT(主力戦車)となる可能性も考えられるでしょう。
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