超ヘビー級戦車キラー「ヤークトティーガー」本領発揮できなかった“走る怪物” 致命的な弱点とは

第2次世界大戦末期にドイツが開発した重駆逐戦車「ヤークトティーガー」は、大威力の長砲身12.8cm砲と、戦車以上に分厚い装甲をまとった「最強の怪物」と形容できる戦闘車両です。しかし期待外れに終わった理由は、大きく2つありました。

経験豊富なベテランがいないことが大きな痛手に

 第2次世界大戦中、ドイツを率いていた総統ヒトラーは、このようなスペック的には超強力な戦闘車両にすぐさま興味を示します。その結果、本車は「狩りをする虎」という意味の「ヤークトティーガー」と命名され、早々にその生産が承認されました。

 しかし、ドイツ本土が連合軍の戦略爆撃に晒され、インフラが被害を受けた影響で、当初予定していた1943年12月の生産開始が不可能となります。ようやく生産が始まったのは、年明けの1944年2月からでした。

 このころには、ドイツもまったく余裕がなくなっていました。ヤークトティーガーが配備された独立重駆逐戦車大隊は、かつては、実戦経験を積んだ優秀な乗員が半分以上を占めていたため、そこに新人乗員が配属されるとOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で実力をつけていくというスタイルで運用されていましたが、大戦末期のこの時期になると、大隊長や中隊長こそ歴戦のベテランながら、車長クラスより下の乗員は新人がほとんどという状況でした。

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「ヤークトティーガー」が搭載した12.8cm砲PaK.44。写真はその牽引砲タイプで、砲架と比べて異様に大きな砲身がよくわかる(画像:パブリックドメイン)。

 そのため、「戦闘の機微」とか「いくさ慣れ」といった経験が不足しており、戦闘状況下でのヤークトティーガーの運用が明らかに稚拙な面が多かったようです。それに加えて操縦手の技量不足で、ウィークポイントの動力伝達系を故障させる事態も頻発しました。

「ヤークトティーガー」は、走行性能の要ともいえるエンジンのパワー不足と、動力伝達系への過度な負担という「弱点」を抱えていました。これは、当初からわかっていたことですが、それをカバーするだけの技量を備えた操縦手は前述したようにほぼおらず、加えて、それらトラブルに対応できる優秀な整備部隊も足りていなかったのです。

【戦闘室内部も】イギリスに残る「ヤークトティーガー」をイッキ見(写真)

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