超ヘビー級戦車キラー「ヤークトティーガー」本領発揮できなかった“走る怪物” 致命的な弱点とは

第2次世界大戦末期にドイツが開発した重駆逐戦車「ヤークトティーガー」は、大威力の長砲身12.8cm砲と、戦車以上に分厚い装甲をまとった「最強の怪物」と形容できる戦闘車両です。しかし期待外れに終わった理由は、大きく2つありました。

大戦最強の戦車「ティーガーII」の派生型

 敵である米英ソ(連合軍)が用いる全戦車を撃破可能な、射距離が3000mという大威力の12.8cm砲を搭載し、最大250mm厚の装甲に身を包んだ、車重75tものヘビー級駆逐戦車――それが「ヤークトティーガー」です。第2次世界大戦においてドイツが生み出した、量産型戦闘車両としては「最強」といっても過言ではない兵器でした。

 第2次世界大戦最強の戦車と称される「ティーガーII」(キングタイガー)重戦車よりも、火力という点ではるかに強力にもかかわらず、この「走る怪物」は、期待とは裏腹に不本意な戦績しか残せませんでした。それはなぜだったのでしょうか。

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イギリスのボービントン戦車博物館に展示されている「ヤークトティーガー」(柘植優介撮影)。

「ヤークトティーガー」が生まれたのは、前出の「ティーガーII」の開発が進められていた1943年前半のこと。ドイツ陸軍は、まだ試作段階の「ティーガーII」をベースに、12.8cm砲を搭載する重駆逐戦車の開発を早くもスタートさせます。

 当時のドイツ陸軍上層部では、自分たちが強力な重戦車を開発している以上、敵である米英ソも対抗して手強い重戦車を戦場に投入することは間違いないと考えていました。

 そこで、試作中の重戦車の車体を流用して、そこに最厚部250mmの重装甲を組み合わせ、主砲には開発中の12.8cm対戦車砲を搭載。これにより、敵戦車を3000mという長距離から一方的に撃破可能な駆逐戦車を作り出すことにしたのです。

【戦闘室内部も】イギリスに残る「ヤークトティーガー」をイッキ見(写真)

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