未来の空母は“多段式”? 韓国のコンセプトモデル 少子化を解決する「びっくりどっきりメカ」だった!

韓国海軍は本格的な無人化を推進中

 現時点で、この「ゴースト・コマンダー」は、あくまでもハンファ・オーシャンの社内研究で構想されたコンセプトモデルで、この外見のまま実艦が建造される可能性は高くないようです。

 しかし、韓国は今後の少子化などを見越して無人兵器の積極的な開発を進めており、同海軍も有人システムと複数の無人システムを組み合わせた新しい運用概念として、「ネイビー・シー・ゴースト」というコンセプトを発表しています。ゴーストとは幽霊という意味ではなく、「Guardian Harmonized with Operating manned Systems and Technology based unmanned systems」というフレーズの頭文字を取ったものです。

 つまり、今回展示された「ゴースト・コマンダー」は韓国海軍が提唱する「ネイビー・シー・ゴースト」に則ったコンセプトモデルというわけです。大型無人機母艦の実現はまだ先ですが、すでに各無人プラットフォームの研究開発は個別に行われており、ハンファ・オーシャンでも戦闘能力を持つ大型無人潜水機を開発中です。

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上部飛行甲板はアングルドデッキになっており、舷側には回転翼機用の発着艦用スポットもあった(布留川 司撮影)。

 韓国メディアの報道によると、韓国海軍は今後ますます無人プラットフォームへの依存度を高めていくそうで、2040年代までには無人プラットフォームを運用する新しい司令部を創設し、併せて作戦全体における無人兵器の比率も4割程度まで高めると発表しています。

 韓国軍の予算規模や人員を考えると、海軍が拡大路線を目指す場合、アメリカ海軍や中国海軍を後追いして純粋に艦艇の数を増やしていくのは難しいといえます。そのため、より効率的な戦力として無人プラットフォームの比率を増やしていくのは合理的な判断だと言えるでしょう。

 同様の試みは世界中の海軍ならびに防衛産業で進められていますが、韓国海軍はそのなかでもコンセプトだけなら最先端を行っている感じでした。そこから類推するに、「ゴースト・コマンダー」はやや突飛な印象もあるものの方向性は間違っておらず、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)には未来の海軍が向かうべき姿を示しているようにも感じられました。

【了】

【え…】喫水線下も異形! 韓国発案“未来の空母”(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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コメント

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2件のコメント

  1. 格納庫と同じ階にすることで搬入出は速くなるだろうが格納庫が大分小さくなる。108機も入るのだろうか。搭載機容量を減らしてでも搬入出を速くしたいような状況が現代戦であるだろうか。艦橋にステルス感を出しても段差があると台無しではないだろうか

  2. 韓国のことだから絵に描いた餅で終わるか、完成してから痛恨の設計ミスが発覚するというお約束付きなのではと期待が高まります。