強力だけど後始末が… 飛行機の「ドラッグシュート」廃れたワケ ただ逆の理由で今も重宝?

戦闘機などが着陸した際、機体後方に開く「ドラッグシュート」。アメリカ製の戦闘機では見かけなくなりつつありますが、実は意外なところで重宝されているとか。意外にも巨大な戦略爆撃機などでも使用されています。

むしろドラッグシュートが必要な航空機も

 実用機としては採用例が減ってしまったドラッグシュートですが、展開すると「機体を後ろから引っ張る」という特性から、飛行機の開発試験現場ではまだ現役なのだとか。試験飛行中の緊急事態用に重宝されています。

Large 20230625 01
ドラッグシュートを展開したF-4EJ改(咲村珠樹撮影)。

 飛行機、特に激しく機動飛行する戦闘機の場合、操縦操作によってはスピン(きりもみ)状態に陥ってしまうことも。このため、開発段階では飛行特性を調べる目的で、どのような操作をするとスピン状態に入ってしまうのか、またどうしたら脱出できるのかを確認すべく、あえて「スピン試験」というものが実施されています。

 パイロットの操縦によって回復可能なスピンであればまだいいのですが、操縦不能になってしまうと墜落につながります。この時、ドラッグシュートを展開すると「機体を後ろに引っ張る力」が発生し、姿勢が変化することによって、スピンから回復させるチャンスが生まれるのです。

 スピン試験のため、特別に装着されるドラッグシュートは「スピンシュート」と呼ばれています。こういった用途を鑑みると、ドラッグシュートは着陸時には使われなくなっても、同じ原理で飛行中の緊急事態から脱出できる装備として、まだまだ役に立ってくれるでしょう。

【了】

【え、こんな巨人機も!?】戦略爆撃機B-52のドラッグシュート装填&展開の様子(写真)

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 都市に迫るロシア軍の「弾道ミサイル」が“空中で木っ端みじん”になる瞬間をウクライナ軍が公開 追尾から撃墜まで詳細に
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号