「スペーシアX」は正当進化か 東武100年の豪華特急列伝 いつの時代も“国鉄キラー”だった?

「スペーシア」そして「スペーシアX」へ…

 1990(平成2)年、現在も活躍する新型特急100系「スペーシア」が投入されます。100系は座席間隔1100mmのリクライニングシートを踏襲しつつ、肘掛内蔵テーブルやオーディオサービス(現在では廃止)も備え、さらなる豪華さで話題となりました。

「スペーシア」で特筆すべきは4人用個室の設置でした。天然大理石のテーブルや、厚さ15mmの純毛絨毯、金属部の金メッキなど、「ホテル並みの豪華さ」を実現しています。

 ビュフェにも黒御影の人工大理石でつくられたカウンターを備え、オーダーエントリーシステムでのシートサービスを行いました(現在は営業中止)。

「スペーシア」は2006(平成18)年よりJR線への直通運転を開始。2011(平成23)年よりリニューアルも行います。特に2015(平成27)年に登場した「日光詣スペーシア」は、豪華な金色の内外装が話題となりました。

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このたび登場したN100系「スペーシアX」(安藤昌季撮影)。

 そして、2023年。豪華東武特急の系譜を継ぐ新型特急として登場したのがN100系「スペーシアX」です。

 設備は国内最多の6クラスを備えます。運転台の後ろに配置し、展望を可能したうえで私鉄最大の広さを誇る1~7人用個室「コックピットスイート」、「スペーシア」の系譜を継ぐ1~4人用個室「コンパートメント」、1~2人で使える半個室「ボックスシート」など、プライベート感を重視しています。

 開放形客室も2+2列の「スタンダードシート」と、1+2列の「プレミアムシート」の2クラス制となりました。

 特筆すべきは、カフェ設備を備えた「コックピッドラウンジ」。厨房+向かい合わせ座席の組み合わせは食堂車的ですが、フリースペースではなく「優先的にカフェ利用できる指定席」という、国内では見られなかった設備です。

 近畿日本鉄道「しまかぜ」、JR東日本「サフィール踊り子」など、豪華さが売りの特急車両が登場する中でも、最高レベルの豪華特急として存在感を示す「スペーシアX」。今後の活躍が期待されます。

【了】

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Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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