「戦場のビッグモーター」=世界最大の巨砲の伝説 やっぱりビッグが一番…使えませんでした!

今から約80年前、アメリカで戦艦「大和」の主砲よりも大きな口径を持つ迫撃砲が開発されました。ただ、あまりにも巨大すぎ、なおかつ使う時期を逸してしまったため、試作で終わったそうです。

布陣も撤収も各12時間かかる!?

 かくして、この「ビッグ(巨大)」な「モーター(迫撃砲)」には、「リトル・デーヴィッド」という愛称が付けられました。ただ、試作ということでMナンバーは付与されなかったため、型式番号はT1のままでした。

 しかし、「リトル・デーヴィッド」の完成前にドイツのジークフリート要塞線は、第一線部隊が突破に成功します。そこで、今度は太平洋戦域で日本軍の堅固な防御陣地に使おうと考えられます。

 ところが、リトル・デーヴィッドの設置には、事前に調査して発射の反動に耐えられる堅固な地面を確保しなければなりませんでした。また、輸送、組み立て、設置にも、分解した砲を何両もの専用の重量物運搬車台に載せたうえで、超大型のトラクターヘッドである40t牽引車M26で牽引する必要がありました。

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M26トラクターで牽引される「リトル・デーヴィッド」。総重量は約83tあり、複数のパーツに分割して運搬された(画像:アメリカ陸軍)。

 ちなみにこのM26という牽引車は、第2次世界大戦のアメリカ製戦車運搬車M25「ドラゴン・ワゴン」のトラクター部分です。「リトル・デーヴィッド」は、分解しても戦車なみの重量級兵器でした。

 また組み立て・設置する際も、クレーン車やブルドーザーなど、多数の重車両・重機材が必要でした。しかも設置に約12時間、撤収も同様に約12時間かかる代物でした。

 こうなると、手間暇かけて大人数で苦労して設置や撤収を繰り返すよりも、航空爆撃や他の既存の大口径火砲での砲撃で代替できるため、一応は完成して運用の手順も決められたものの、「ビッグ・モーター」のリトル・デーヴィッドが実戦に投入されることはありませんでした。また、試験や研究もその後継続されたものの、戦後すぐの1946年に終了しています。

 なお「リトル・デーヴィッド」については、従来、航空爆弾を地上で投射するための実験用発射装置(Bomb Testing Device T1)で、それを実戦向けに改良したといわれていましたが、実はこのBomb Testing Deviceは、本来の目的を隠すための秘匿名称だったとの説が有力視されるようになっています。

【了】

【これが弾…!?】あまりにデカすぎる「戦場のビッグモーター」(写真)

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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コメント

1件のコメント

  1. ああ、最近なにかと話題の Big Motor ・・・ってちゃうわ!

    ってツッコミ待ちでよかったですか?

    mortar

    1 乳鉢、小臼 (語源:ラテン語のmortarium=乳鉢)

    2 モルタル (由来:乳鉢で練って混ぜることから)

    3 迫撃砲 (由来:乳鉢(臼)のような砲=臼砲 → 迫撃砲に進化しても呼び方そのままmortar)

    戦艦大和の主砲: 45口径 46cm砲(砲身長 約21m)

    独 80cm列車砲: 40.6口径 80cm砲(砲身長 約32.5m)

    独 カール自走臼砲: 8.45口径 60cm砲(砲身長 約5m)

    米 リトル・デーヴィッド: 7.3口径 91.4cm砲(砲身長 約6.7m)

    大口径砲を比べると砲身長が桁違いなのが分かりますね。

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