「世界最速の飛行機」を生み出した“とんでもないエンジン”伝説 速けりゃ全てをかわせると考えたCIA

有人実用機としての世界最速記録をもつSR-71戦略偵察機。同機が実用化できたのはP&W社がマッハ3クラスを出せる実用エンジンを開発できたからこそ。ただ、その構造は特殊でした。

マッハ3.4出せるか挑戦! その結果は?

 円錐形のスパイクは最初の圧縮を行う重要な役割を果たしますが、速度がマッハ3.4に到達するとスパイクで発生する衝撃波を飲み込んでしまうため気流が乱れエンジンが停止してしまいます。これにより、諸説あったSR-71の最大速度はマッハ3.3であったことが明らかになっています。

 なかには、実際にSR-71の最大速度を無許可で試したパイロットもいたそう。そのパイロットはミッションからの帰投時にフルスロットルでどこまで加速するか試したところ、速度がマッハ3.3を超え3.4に達したところでエンジンが2基とも停止してしまったといいます。ここでパイロットはマニュアルに従いエンジンの再始動操作を冷静に実施、幸いエンジンが左右両方とも再始動したことで、無事に基地への帰投を果たしています。

 なお、SR-71にはコックピット・ボイス・レコーダー、フライト・データー・レコーダーをはじめ、パイロットの心拍数など10以上の記録装置が搭載され、200以上のパラメーターが3秒毎に記録されていました。当然、前出のマッハ3.4にチャレンジした飛行に関しても、その際に起きたエンジン停止や各種データについて詳細に記録されていたため、飛行計画にない無謀な飛行として着陸後には全てバレたというわけです。

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1986年8月8日、カナダのアボッツフォード空港で行われた航空ショーで展示飛行するSR-71偵察機(細谷泰正撮影)

 こうして60年以上前に3200km/hオーバーで巡航する飛行機として開発されたSR-71は、一時、沖縄を拠点に運用されていたこともあります。四半世紀にわたった第一線での現役時代には敵地上空や紛争地帯上空を飛び続け、何度もミサイルや戦闘機による追尾を受けましたが、撃墜による損失ゼロという輝かしい記録を打ち立てています。

 A-12、YF-12、そして SR-71の全てのJ58エンジン搭載機は多くが全米各地の航空博物館で展示されています。それらの博物館ではJ58エンジンも展示されています。アメリカ旅行をする機会があれば、ぜひ見学してみてはいかがでしょうか。航空技術の発展の一端に触れることができるかもしれません。

【了】

【まるで宇宙船みたい…】これが「ブラックバード」のコックピット内部です(写真)

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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コメント

2件のコメント

  1. 筆者殿

    つぎは世界「最遅」の飛行機の記事を

    書いてください

    速いのはわかった

    では固定翼はどこまで低速で飛べるのか

    失速ギリギリでも平然と飛べる固定翼機

    ここにむしろ関心があります

    主翼の前縁にたくさん並んでいるトゲトゲ

    あれがなんで低速飛行に有効なのかとか…

    • 「ホバリング(=0km/hで飛行)可能な固定翼機」は存在します。…が、これは「エンジンの推力を真下に向ける」というやり方なので、云わんとすることはそうではないはず…

      所謂「鳥人間コンテスト」の機体は20km/h弱でも飛べるものがあるとか

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