「世界最速の飛行機」を生み出した“とんでもないエンジン”伝説 速けりゃ全てをかわせると考えたCIA

有人実用機としての世界最速記録をもつSR-71戦略偵察機。同機が実用化できたのはP&W社がマッハ3クラスを出せる実用エンジンを開発できたからこそ。ただ、その構造は特殊でした。

燃料すら冷却剤として使用

 ただ、高度2万4000mをマッハ3超の速度で巡航可能なジェットエンジンの開発に立ちはだかったのは熱の問題でした。完成したJ58エンジンは多くの独創的なメカニズムが搭載されていましたが、その多くは高温における安定した動作のためでした。

 マッハ3で巡航する時のエンジン吸気温度はおよそ430度。この高温に耐えられるよう、エンジン本体は一部がチタニウム製で、大部分はインコネルなどの鉄・ニッケル系の耐熱合金で作られています。エンジンは熱膨脹すると常温時に比べ、長さで15cm、直径で6.3cmも大きくなるため、対策は重要でした。タービンブレードは材料の結晶方向を均一にすることで、熱や遠心力が加わった状態においても形状の変化を規定値内に収めています。

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A-12やYF-12、SR-71が積んだJ58エンジン。写真はユタ州ヒル空軍基地博物館で展示されているもの(細谷泰正撮影)。

 燃料制御装置には電子回路を内蔵した機器が使用されることが一般的ですが、当時は半導体集積回路(IC)の登場前で、しかも高温に耐えられるような電子機器はありませんでした。そのため、気圧や温度などをメカニカルなセンサーで計測して、その数値を基にカムやバルブを巧みに動かすことで流量制御を行う燃料制御装置が開発されました。

 また高温環境下においてもエンジンが問題なく作動するよう、潤滑油も400度までは安定性を保つ特別な合成油が使用されていましたが、この潤滑油を冷却するために採られた方法は、「燃料を冷媒として使用する」ことでした。

 高温のベアリングから出てきた潤滑油は、タンクから供給される燃料により200度まで冷やされて再びエンジンを循環する構造となっていました。このとき燃料自体も高温になるため燃料はJ58エンジン専用の「JP7」とよばれる特殊な燃料が使用されました。ちなみに、JP7は高純度のケロシンが主成分のため、常温では揮発成分が少なく着火しないという特徴を持っていました。

【まるで宇宙船みたい…】これが「ブラックバード」のコックピット内部です(写真)

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コメント

2件のコメント

  1. 筆者殿

    つぎは世界「最遅」の飛行機の記事を

    書いてください

    速いのはわかった

    では固定翼はどこまで低速で飛べるのか

    失速ギリギリでも平然と飛べる固定翼機

    ここにむしろ関心があります

    主翼の前縁にたくさん並んでいるトゲトゲ

    あれがなんで低速飛行に有効なのかとか…

    • 「ホバリング(=0km/hで飛行)可能な固定翼機」は存在します。…が、これは「エンジンの推力を真下に向ける」というやり方なので、云わんとすることはそうではないはず…

      所謂「鳥人間コンテスト」の機体は20km/h弱でも飛べるものがあるとか

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