時速100万km! U-2「ドラゴンレディ」偵察機の史上最高速度はいかに記録されたのか

人類史上最速の乗りものはSR-71「ブラックバード」偵察機のはずですが、同じ偵察機のU-2「ドラゴンレディ」が、実はそれよりもケタ違いの速度、時速100万kmを記録しています。そこには、宇宙の秘密を解き明かすカギが隠されていました。

誤字でも計器の故障でもない「時速100万km」

 いつの時代どんな乗りものでも、人類は「史上最速」の称号を競い合ってきました。なかでも「飛行機」はその空を飛ぶという特性上、抜群の速度性能を誇り、1976(昭和51)年のロッキードSR-71「ブラックバード」偵察機による時速3529.56kmという数字は、対地速度としては不滅の大記録として知られます。

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NASAが運用するU-2テストベッド機。気圧わずか1/10の高度2万mまで上昇することができ、分厚い大気の層をほとんど透かして宇宙を観測できる(画像:NASA)。

 飛行機の速度は地球を基準とした「対地速度」や空気を基準とした「対気速度」など様々な測りかたがありますから、単純にSR-71と比べることはできませんが、実はSR-71と同じチームが開発したロッキードU-2「ドラゴンレディ」偵察機は、同じ1976年にSR-71を遥かに上回る速度を計測しています。

 その速度記録なんと秒速300km。時速にして100万km、光速の0.1%というとてつもない数字でした。リニア中央新幹線東京~名古屋間の距離であればたったの1秒、列車と同時に東京駅をスタートした場合、列車が名古屋に到着するまでの40分間で月面まで行って帰ってこられる、ちょっと意味がわからないような速度です。

 決して計器の故障でも計測ミスでも、単位やゼロの数を間違えているわけでもありません。敵国の秘密を暴くためのスパイ機として開発されたU-2は、実はこのとき、偶然にも人智を超えた宇宙の秘密を解き明かしてしまっていたのです。

 1970年代。人類は、宇宙が、永遠の存在ではなくある一点から爆発するように始まった「ビッグバン」仮説の証拠を掴みかけていました。地球から夜空を見上げると一見、真っ暗な宇宙が広がっているように見えますが、電波で観測すると何億光年も彼方からやってきたとても弱い光で包まれていることが知られており、これは「宇宙マイクロ波背景放射(CMB)」と呼ばれ、ビッグバンの残り火ではないかと考えられていました。

そこもうほとんど宇宙でしょ U-2から見える「景色」

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