「UFOの大群きた!」自衛隊は戦える? アメリカじゃ大マジメのUFO調査 日本はどうか

必要であれば武器使用も可能

 このとき、もしUFOが抵抗してきた場合には、当然、自衛隊機も武器を使用することが可能です。自衛隊機が武器を使用できるのは、(1)相手が実力をもって抵抗してきた場合(正当防衛型)、および(2)国民の生命や財産に被害がおよぶことを防ぐ場合(緊急避難型)の2つのケースで、UFOが自衛隊機を直接攻撃してきた場合には前者、地上に向かって攻撃を始めようとした場合には後者に基づき、それぞれ武器を使用できます。

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2023年4月、中国の高高度偵察気球を撃墜する際に使われたAIM-9X「サイドワインダー」空対空ミサイル(画像:アメリカ空軍)。

 また、もしUFOが大挙して襲来し、地上に甚大な被害を与えたような場合には、対領空侵犯措置を実施するまでもなく、これを日本に対する武力攻撃(武力行使の最も重大な形態)とみなして、自衛隊法第76条に規定される「防衛出動」が下令される可能性もあります。しかし、相手の素性が不明確であるため、これを一種の「グレーゾーン事態」とみなして、警察力を補完する形で自衛隊の部隊が出動する「治安出動」による対応も考えられるでしょう。

 今後、もし自衛隊機がUFOを目撃した場合、それが中国やロシアの新型装備という可能性も当然考えられることから、防衛省内で報告されると同時に、アメリカ軍とも情報が共有されることになるのかもしれません。今や、UFOは単なる空想科学の産物から、より具体的な脅威へと変質している、といえるのではないでしょうか。

【了】

【UFO!? いや中国のスパイ気球だ】撃墜したアメリカ軍の戦闘機とは

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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