まもなく開業「宇都宮LRT」に乗る 目まぐるしく変わる車窓 こんな路線どこにもない!
3両ロング車体で挑む「国内最大級の勾配」
●清陵高校前~芳賀町工業団地管理センター前:再び併用軌道区間 ただし「横断」多し
清陵高校前からは、再び道路空間に設置された線路を進みます。清原工業団地内ではクランク状のカーブを進み、道路を横断する箇所が。ここは交わる道路の交通量も多いためか、長めの“信号待ち”となりました。
工業団地内では線路の端に軌道が敷設されていますが、そこから「ゆいの杜」地区へ入る巨大な「野高谷(のごや)交差点」は専用高架橋で渡ります。ゆいの杜地区では駅周辺と同様、道路の真ん中の線路をクルマと進む区間です。ここでも、列車は完全に道路交通に溶け込んでいました。
●芳賀町工業団地管理センター前~芳賀・高根沢工業団地:最後の「谷越え」国内最大級の勾配
ここからは芳賀町内の区間です。芳賀町工業団地管理センター前で道路を横断して左折すると、やがて遠くにホンダの体育館が見えるのですが、その手前にあるV字型の谷を列車は地形に沿って進みます。
乗っていても明らかに列車が下がっている、上がっていることが認識できるこの区間、最大60パーミルという国内最大級の勾配です。東京都内を走る都電荒川線でも王子駅付近で66.8パーミルの急坂を通りますが、同様の勾配を最新型の3両連接車で進むライトラインは、また違った印象でした。
終点の芳賀・高根沢工業団地周辺は“ホンダ村”とも呼べる本田技研工業関連の工場エリアで、工場正門の目の前に停留所があります。工場の反対側は、見渡す限りの「関係者用駐車場」。このクルマの多さをどれだけライトラインに転換できるかという点も、路線の真価が問われるポイントでしょう。
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宇都宮駅から終点まで乗り通した場合の所要時間は、標準で48分とされています。その間、路面電車らしい市街地区間や、郊外の高架鉄道区間、工業団地の区間などが目まぐるしく移り変わり、“急勾配”という鉄道ファンにはたまらないポイントも多数。これら見どころを大きな窓の低床連接車で味わえるという、類を見ない路線といえそうです。
「まず1年間は安全に運行を続けることが何より大切です。夏の高温によるレールへの影響、秋の落ち葉、冬の凍結など、まだまだ我々が体験できていない課題はたくさんあります」(宇都宮市建設部 LRT管理課長 桑久保佳宏さん)
開業時は暫定的な特別ダイヤでスタートし、2024年春のJRダイヤ改正に合わせた改正で、快速運転も計画しているそうです。
【了】
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