どうするんだ原子力潜水艦の処分 30年“放置”も!? 今後は原子力空母も続々とリタイア

アメリカの原子力空母も続々退役

 日本は日露非核化協力委員会を通じ、退役原潜の解体事業を「希望の星」と命名。ヴィクターI級やヴィクターIII級などの原潜6隻の解体に協力しました。ロシアの艦艇に関しては欧州でも放置されているものが多く、解体実績のあるフランスを始めとしたEU諸国が資金援助を行っていました。

 2023年8月現在、アメリカでは世界初の原子力空母である「エンタープライズ」の解体に向けた話が進んでいます。原子力空母の解体はアメリカだけでなく世界でも初です。民間が請け負う形に落ち着きそうですが、2017年2月の同艦の除籍以降、なかなか方針が決まらず、艦の維持費に年間数百万ドルを費やすという、かなりお金のかかる退役艦となっていました。

 アメリカ軍では2025年から、ニミッツ級原子力空母の退役も行われる予定です。原子炉の数は2基と、8基備えている「エンタープライズ」よりは少なくなっていますが、計10隻が就役しており、「エンタープライズ」である程度解体のシステム作りをする必要があります。

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2025年に退役が予定されているニミッツ級原子力空母の1番艦「ニミッツ」(画像:アメリカ海軍)。

 また、2023年に原子力潜水艦を購入する意向を固めたオーストラリアに関しても、同艦の退役後の処遇に関しては、人里離れた国有地に処分場を設ける方針で2024年までに場所を選定する予定です。しかし地元住民の反対などで調整が難航する可能性のほか、既に一部の市民団体からは懸念の声が出ているとのこと。原子力で動く艦艇は、原子炉さえ動いていれば、燃料補給が不要な観点から安全保障上、重要な位置に置く国は多いですが、退役後は大変なのはどこの国でも同じのようです。

 ちなみに、日本でも軍艦ではないものの、 日本原子力船開発事業団が1970年代に運用していた原子力船「むつ」が、試験航行中に原子炉上部の遮蔽リングで、主として高速中性子が漏れ出る「放射線漏れ」が発生した1974年以降、風評被害を恐れるむつ市に帰港を拒否され、その後なかなか母港が決まらずたらい回しになったこともあります。なお、同船は1993年3月に原子炉が撤去されましたが、そのときは大きな問題はなかったようです。

【了】

【え…】これが「輪切りにされたロシア原潜」です(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

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1件のコメント

  1. 原発の廃炉と同じで費用と技術面で簡単にはいかないですからね。造るのは簡単でもそれらを廃棄するには膨大な資金と年数に最終処分場が必要になりますからね。
     
    英国は原発廃炉問題も抱えているし国家予算のひっ迫は今以上に深刻になりますね。様々な問題があっても中露は放置や海洋投棄など行い、尻拭いはいつも日本をはじめ米国やそれらに付随する国々にいつもなっています。が中露は日本に感謝もせずに噛みついてきますから困ったものです。
     
    人は目先に囚われ、国は先送りにし国民負担を増大させる。