「新快速で十分」ではない!? 大幅短縮の特急サンダーバード「敦賀止まり」がそれでも必要であるワケ
特急が選ばれる「速くてもけっこう長い移動」
では近江舞子より先でも「どんどん通過する新快速」にすればいいのでは、という話になりますが、今まで新快速だけで済んでいたのを、各駅停車と新快速の二重で電車を走らせると、往復100km近くの運行コストが余計にかかってしまうことになります。
そこまでしたとしても客が「無料で速いから新快速に乗る」とならないのは、敦賀が先述のとおり「速くてもけっこう長い移動」の遠さにあたるからです。
そもそも「遠くへ移動する客が、遠くへ行くことを苦痛に思わないように移動できる」手段としての需要が、特急列車と言えるでしょう。それは「確実に座れて、座席や乗り心地が快適である」ということで実現されますが、無料の新快速にはそれがありません。特急列車のほうが製造・運用コストがかかる分、そういったグレードが高いのです。
首都圏でも、中央線の高尾以遠は、特急「かいじ」「あずさ」が頻発運転され、大月は1時間に1本、甲府は1時間に2本と、快速・特別快速のような役割を担っています。もしこの代わりに無料の「特別快速 甲府行き」を通勤車両で走らせて、同様に小さい駅をどんどん通過させたところで、多くの客が重視する「確実に座れて移動が快適」は満たされないかもしれません。
このように、通勤車両よりグレードの高い「特急車両」を用意し、別料金を取ることが需要に合致している「速くてもけっこう長い移動」という距離圏ですが、関西エリアから見た敦賀は、そのレベルの遠さと言えるでしょう。
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この理屈が通るなら、館山に行くさざなみも復活してほしい。