【空から撮った鉄道】関東最東端の“食品製造業”銚子電鉄 短距離で変わる表情 懐かしの京王車にときめく

房総半島の東端、銚子市には総延長6.4kmの銚子電鉄があります。何度か廃止の危機を乗り越え、最近ではぬれ煎餅などの「粉モノ」販売が経営を助け、自主映画を制作するなど何かと話題の小私鉄です。犬吠埼の絶景と元・京王電鉄の電車を紹介します。

この記事の目次

・主力車両はお下がりのさらにお下がり!
・日中は列車交換をしないダイヤになっていた
・かつて乗車した時とは違った印象を抱く
・物々しい醤油会社のタンクと可愛らしい2両編成の車両

【画像枚数】全18点

主力車両はお下がりのさらにお下がり!

 銚子電鉄はJR銚子駅から外川駅までの6.4kmを結ぶ私鉄です。18m級の小柄な2両編成の電車が、キャベツ畑や住宅地をトコトコ走ります。列車は銚子駅から醤油工場のタンクを横目に見つつ、房総半島の東端に位置する犬吠埼へ近づき、漁師町の外川駅へ至ります。

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海鹿島駅を発車した外川行き列車。線路は大きく右へカーブして銚子半島に沿って南下する。海岸沿いでは、外川駅近くの長崎鼻まで約1億年前の地層を見ることができ、銚子ジオパークとなっている(2023年4月28日、吉永陽一撮影)。

 銚子電鉄は何かと話題が絶えず、何度か起きた経営危機では沿線の名産である「ぬれ煎餅」を販売して乗り越え、ほかにもお菓子のうまい棒をもじった(経営が)「まずい棒」、自主制作映画、名物社長のメディア戦略など、鉄道を維持するために並々ならぬ努力をしています。

 この鉄道のマスコットは、ドイツアルゲマイネ社のデキ3で、全長4.7mの2軸機関車は日本最小クラス。主力車両は3000形と2000形で、これらの車両の経緯は、京王電鉄(譲渡時は京王帝都電鉄)から伊予鉄道へ譲渡され、さらに再譲渡されて銚子電鉄へやってきた中古の中古車です。3000形は京王時代に5000系を、2000形は2000系を名乗っていました。

日中は列車交換をしないダイヤになっていた

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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