砲塔無しで大暴れ 絶滅した「戦車もどき」たちは何だったのか 戦闘力高いのに戦車じゃないワケ
ソ連では全て自走砲呼びだった
同じころ、敵対関係にあったソ連軍では、ドイツ軍の突撃砲に影響され、旋回する砲塔を持たない装甲車両の開発が行われました。
やがて、既存のソ連戦車では撃破が困難なドイツ戦車、「ティーガーI」重戦車や「パンター」中戦車などが登場すると、ソ連ではSU-85、SU-152のような大型の対戦車砲や榴弾砲を搭載した自走砲が開発され、これらがドイツ軍の駆逐戦車と同じように、戦車とほぼ同じ任務をこなすようになります。なお、ソ連では駆逐戦車や突撃砲などの区別はなく、すべて“自走砲”です。
イタリアでも戦中には「セモヴェンテ」というドイツの突撃砲に影響を受けて開発された車両がありますが。こちらも、特に突撃砲や駆逐戦車なような明確な分類はつけられず、自走砲と呼ばれ戦場で使われたようです。
突撃砲や駆逐戦車などの車両は2023年現在、世界の軍隊に存在しない車両になっていますが、自走砲に関してはまだ分類として残っています。ただ、目標を捉えて砲撃する「直接射撃」ではなく、陣地などの目標に観測員や航空機から指示を受けて砲撃する「間接射撃」を主に行う自走榴弾砲を指し、直接的に戦車戦を行うことを想定した車両ではありません。
ちなみに例外として1960年代にスウェーデンが開発した「Strv.103」、通称Sタンクは砲塔を持たないかわりに、車高を極限まで低くした車両でしたが、本国では自走砲や駆逐戦車には分類せずに主力戦車扱いでした。
【了】
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