だって敵いないんだもん…?「80年前の戦車」が未だ主力の南ア 改修し続ける背景にある“黒歴史”

第2次大戦末期にイギリスで生まれた傑作戦車「センチュリオン」。約20か国に採用されたベストセラーを、南アフリカは「オリファント」という名でいまだ使っています。新戦車を導入せず「老兵」を運用し続けるのは、ある理由からでした。

最新型「Mk.2」その特徴は?

「オリファントMk.1B」は、近代化改修型「センチュリオン」の集大成といえるもので、足回り、動力装置、装甲、備砲、射撃統制装置(FCS)の全てに手が入れられています。特に、それまでの各種改修では手が付けられなかったサスペンションが、トーションバー式へと換装され(原型はホルストマン式)、不整地走行性能の大幅な向上を実現させています。

 加えて防御力向上の一環で装甲も強化されたことで、車重は「オリファントMk.1A」の約56tに対して「同Mk.1B」 は58tへと増加。そこでエンジンをより高出力な新型ディーゼルへと換装し、路上最大速度を既存タイプの45km/hから、新型では58km/hへと向上させています。

 なお、この装甲強化に合わせて、「オリファントMk.1B」では車体前面と前上面、砲塔前面と左右側面、さらに砲塔上面の前半部に複合装甲材を用いた追加装甲を装着。さらに車体の左右側面にサイドスカートまで取り付けたため、外見的に同車は従来モデルとは全く異なる、別の戦車と思えるほどに変貌しています。

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南アフリカが運用する「オリファントMk.1B」戦車(画像:アメリカ陸軍)。

 さらに2003年、南アフリカでは「オリファントMk.2」への改修計画もスタートしています。こちらは外見的には「オリファントMk.1B」とほとんど変わりませんが、数少ない外観上の識別点として、砲塔上部に車長用の大型視察装置が増設されているのがポイントです。

 それ以外にもFCSや通信機器などの更新といったソフト面で近代化されており、夜間戦闘能力の向上や行進間射撃能力の獲得といった性能向上が図られています。加えて、主砲もラインメタル120mm滑腔砲へ換装可能になっている模様です。

 この最新型「オリファントMk.2」は2023年現在、すでに数十両の改修が済んでいるとも伝えられます。

 前述のとおり、「オリファント」の原型は1945年生まれの「センチュリオン」です。それがアフリカ大陸の片隅で、70余年を経た今日でも絶え間ない改造が加えられて現役で運用され続けているのは、さすがというほかないでしょう。

 逆にいうと、それだけ「センチュリオン」戦車の“天賦の才” が優れていたからともいえます。

 昨今の南アフリカは、経済の低迷によって国家財政も厳しい状況が続いている様子。そうなると、軍事費も抑制気味であるため、新型MBTの導入などは難しく、いましばらくの間は「オリファント」が現役であり続ける模様です。

【了】

【同じ戦車に見えない…】南アフリカ独自開発オリファント「Mk.1A」「Mk.2」を見比べ(写真)

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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