今さら?首都高「料金所スタッフ」を積極採用のナゾ あと3年で9割ETC専用化なのに

いまの“料金所の仕事”とは?

 首都高速のETC利用率はNEXCO系高速道路と比較しても高く、料金所収受員が現金を受け取る機会は、急速に減っていくことが予測されます。そんな中で目に見える料金所スタッフ募集に乗り出した背景には、どんなことがあったのでしょうか。

 そもそもETCは通行料金収受コストの一部を利用車が負担します。導入当時、料金所渋滞の解消やCO2削減による環境改善が主な導入効果とされてきましたが、その効果と並んで掲げられていたのが、高速道路の建設費や高速道路会社の管理費削減が可能になる、ということでした。

「(料金所のETC専用化は)まだ始まったばかり。間違って入ってくる現金車への対応が必要で、監視業務のような形でスタッフが残っている。まだ、(スタッフの)自然減などを計画的に埋めていかなければならない段階です。専用化が拡大していけば、人員は徐々には減っていくことは想定しています」

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首都高で最初のETC専用入口となった K7横浜北線の馬場。コロナ禍直前の新設当初からETC専用で設計された(乗りものニュース編集部撮影)。

 首都高速は、ETC車と現金車の併用レーン、ETC専用の2本レーンで1つの料金所が構成されることが多く、料金所をETC専用化しても人員の削減効果が限定的なことが当初から指摘されていました。複数のレーンの大半をETC専用にして、少ないスタッフで料金所を管理するNEXCO系高速道路のような効果が見込めないのです。

 そうした違いがあるとはいえ、国は大都市圏からETC専用化を順次拡大し、2030年度頃にはNEXCO系高速道路の地方部も含めて全線に広げる方針を示しています。まだ先ではあるものの、ETC専用化による経費削減効果が利用者にわかりやすく示されることが必要です。高齢者の就労が支える料金所の運営が、最終章に差し掛かっています。

【了】

【え…】実は超特殊な働き方の料金所スタッフ(画像で見る)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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